考え抜くために(2)

サブカル・ニッポンの新自由主義―既得権批判が若者を追い込む (ちくま新書)大震災後の社会学 (講談社現代新書)居場所の社会学―生きづらさを超えて世界が決壊するまえに言葉を紡ぐ死言状〔文庫版〕 (小学館文庫)破裂〈上〉 (幻冬舎文庫)
 毎日新聞の「おおさかプラスα」の記事「注目の3社会学者関西を初体験中」」という特集があり、
 鈴木謙介関西学院大准教授)、高原基彰関西学院大助教)、阿部真大(甲南大准教授)の若手論壇人がピックアップされている。
 現在北海道大学准教授の関西出身の中島岳志も取り上げられている。
 おおさかには「橋下現象」という一筋縄ではいかない現象が深く広がっているが彼ら若手に果敢に検証して欲しい。
 昨日の毎日新聞夕刊「ワイド特集」はツイッターに見る橋下市長「閉塞感解放する攻撃力」ちょっと引用。

橋下市長のツイッターのフォロワー(いわゆる読者)は約75万。米大リーグで活躍するダルビッシュ有投手が約65万だから、相当な人気といっていい。
 首相や政治家の言葉遣いを研究してきた立命館大大学院の東照二教授(社会言語論)に聞いてみた。「橋下さんはツイッターのほうが(会見や討論よりも)相手を攻撃する度合いが高いように感じます」という。
 橋下市長のツイッター歴は約1年3カ月で、これまでの総ツイッター数は5600以上。政策論を展開している部分も多いが、時に「役立たず」「こやつら」「エセインテリ」など激しい物言いが目立つ。「バカ」で調べると、19日の時点で138件出てきた。
 「これらの我々が聞きやすい話し言葉を使って、怒りなどの感情をあらわにしているのが特徴です」という。東教授によると、私たちが共感するのは、精密で冷静な論理展開ではなく、断定調の言葉で発する情緒的な主張だ。
 「橋下さんがよく批判する学者などの手法は彼とは逆で、丁寧に論理を組み立てて話します。すると『机上の空論だ』『現場を知らない』とやりこめられてしまう。さらに、橋下さんは『聞き手』中心のスタイルといっていいでしょう。庶民の目線で権威を攻撃するので、聞き手は自らが抱えている閉塞感を解放してくれる、と感じるのです」(後略)

 シリアスで情緒的な物言いには笑ってしまう傾向にある「イヤミな僕」には橋下現象を「お笑いのトリックスター」と楽しんでいるところがあるが、マジにナイーブに共振している大阪人に違和感があります。1960年高校二年(安保騒動)時に大阪の高校に転校してきたが、最近、前の高校(呉三津田高校)の卒業生を見るとそれぞれの業界でちょっとシリアスで特異な視点でイシューしていた連中が多いのに驚く。作家では田中小実昌、野球界では広岡達郎(でもみんな長嶋茂雄が好きだもんねぇ)、思想界では仲正昌樹、そして雪村いづみとコラボした「トーキョーショック」の佐野元春、みんな独特な一家言ある人ですねぇ。まあ、もっとも年代が近いところでは厚生省の事務次官に登りつめて贈収賄に引っかかってキャリアをゼロにしてしまった○○さんがいましたが、今はどうしているのでしょうか?
彼も母子家庭でした。

 ところで茂木健一郎は色んな人と対談しているが、橋下徹とはやっていないようねぇ。茂木さんなら橋下さんから思わぬものを引き出すかも知れない。クオリア日記で僕は茂木さんにラベルを張り付けて「多動性冒険的日和見主義者」とコメントしたが、橋下さんはもっと過激な縄文時代の狩猟人かも知れない。「多動性冒険的日和見主義者」同士の対論は面白いと思うよ。
 茂木健一郎 クオリア日記: 私にラベルを貼ってください!
 ところでてるてるさんからコメントをもらい、河本準一からみで「生活保護費」に関するページを紹介してもらいました。
 この問題こそ情緒的な反応ではなく冷静に論理的にイシューして欲しい問題ですねぇ。
 河本準一さん、かわいそう! ( 事件 ) - てるてるの箱庭〜チャングマサランヘヨ〜 - Yahoo!ブログ
 老人性白内障の見えにくい目で久坂部羊の書き下ろし長編1143枚をやっと読了。
 本書でもっとも濃いキャラは厚労省の主任分析官佐久間和尚で彼の「天寿プロジェクト」は結構説得力がある。
 ぴぴん、ぽっくりで安楽死したいっていう願望は僕にもある。(PPP作戦)
 国家プロジェクットで行おうとするわけ。誰かにちょっと似ているキャラですが、そんなキャラが沢山登場して結構笑ってしまった。
 作文に近い文体で定型的な人物描写を気にしないで壮大な紙芝居として楽しんで読んでしまった。
 確か山田風太郎にも「安楽死」についてのエンターティメントの本がありましたねぇ。