京都御所一般公開

kuriyamakouji2007-11-04

 昨日は久しぶりに京都に行き、歩いたのですが、同志社の図書館は土曜日は休みだったですね。それで、御所を抜けると人が多い。一般公開だったんです。そのまんま、人々に混じって御所見学しました。それから、三月書房を覗くと、赤木智弘著『若者を見殺しにする国』が棚にありました。関連書もずらりと並んでいました。さすが、三月書房さんです。

回る回る、聖と俗

ホームレス中学生

ホームレス中学生

 武田徹さんが、「回る」っていうエントリーで、僕に声かけをして下さっているから、ちょいとだけ受けます。武田さんは「回転寿司職人」なんてあるのかなぁ?って書いていますが、そう言えば、一昨日、生田武志の講演に行ったのですが、野宿者の夜回りをして聴き取りをすると、前職が調理師という中高年齢の人がこのところ増えたようなことを言っていましたね。包丁一本で住み込みで働いている人が多く、外食産業のファーストフード系など、マニュアル化されて、別に職人的スキルが要請されない産業構造が一方にあり、そんなこんなで、従来型の飲食店はどんどんつぶれ、突然、行き所がなくなった人が増えたのでしょうか。知人でも早期退職して調理師免許をとって、割増退職金で呑み屋を開店したが、一年でつぶれた例もありましたね。
 野宿者たちの殆どは「アルミ缶」(一個2円)、「段ボール」(一キロ6円)で、大体、8h〜10hで1000円ぐらいでしょう。時給100円。それも夜勤ですね。昼間は公園で眠る。
 今、日本全体で野宿者の数は3万人弱と言われているがそのうち大阪府全体で一万人弱でしょう。何故、大阪で野宿者が多いのか、そんな分析もありましたが、面白かったのは生田さんが、今話題の『ホームレス中学生』に触れて、誰か読んだ人はいますか?って聞いたら誰もいなかったですね。僕も読んでいないんだけど、偶々本屋の店頭に並んでいたから、書店員に訊いたら「60万部売れています」って言っていましたね。真偽のほどはわからないけれど、そのことを僕も言ったが、本当に生田さん以外は誰も読んでいなかった。生田さんはニコニコしながら、「そうですか、読んでいないのですか、僕はすぐに読みました。面白かったですね」っと何の衒いもなく本の内容説明をしました。恐らくこの本は「通俗書」に分類されるかもしれないが、生田さんの著書からちょいと想像出来ない、敷居の低さを感じました。むしろ、聴き手の僕たちが、ある種の衒い、そんな通俗なベストセラーなんてといういやらしさがあったと思う。
 その時、ふと思ったのですが、『ホームレス中学生』を読んで、その面白さで、この会場に足を運んでくれる人たちがいたら、生田さんは、自分の著書『<野宿者襲撃>論』を読んだことによる動機付けより、喜んだんじゃあないかと言うことです。僕が生田さんを知ったのは、まさにこの『<野宿者襲撃>論』だったのですが、他の人も『ルポ最底辺』だったり、『フリーターズフリー』だったと思うんです。
 生田さんは、学問的な評価に耐える著書の作者でもあるが、『野宿者問題』を理解するためには、『ホームレス中学生』という通俗的な作品というのが一方にある事によって、『<野宿者襲撃>論』を深く理解出来るんじゃないのか?という問いを生田さんは、みんなに発信したのかもしれない。誰も読んでいないかぁと、ため息をついていましたからね。まあ、「聖と俗」のパースペクティブの問題でもあるわけで、生田さんは実際に野宿者問題を日常的に運動として戦っているから、ナイーブ(聖)一本、愚鈍に「書く」ことで留まらないんだろうね。そのような感性があるから、『ホームレス中学生』を面白いとストレートに言うことが出来たんだろう。
 僕なんかにも、ベストセラーだと、読むに抵抗を覚えてしまうようなイヤらしさがある。生田さんが、この本に触れたのは意表でしたが、でも、野宿問題に関心を持っている人たちの誰も(僕も含めて)読んでいないということに対する苦笑いは、生田さんらしい批評があったんだと思う。思ったより、柔和で余白のある人でした。
動画:♪「麒麟・田村の貧乏話 」http://jp.youtube.com/watch?v=KJlsKdvlwC8 ♪「生き別れになった父親との再会」http://www.nicovideo.jp/watch/sm1146157 (注:マイミクさんから教えてもらいました♪泣く?
「野宿者襲撃」論

「野宿者襲撃」論