2004-08-01から1ヶ月間の記事一覧

下町のジェントルマン(ご隠居さん)

◆過日、小林秀雄講演「現代思想について」を聴いていたら、冒頭、小林秀雄は《隠居について英語では何と表現するのだろうと、英語に詳しい友人に尋ねたら「ジェントルマンでしょう」と答えたが、日本で言う「ご隠居さん」とは随分、違う。「陸沈」という言葉…

舞城王太郎「わからないけれど、何かありそう」

◆多分、ぼくには『好き好き大好き超愛してる』で芥川賞候補に選ばれた覆面作家(1973年生〜)の舞城を語る資格はないと思う。でも、『熊の場所』はとても好きな作品だったし、三島由紀夫賞を貰った『阿修羅ガール』にしろ、本来なら、オヤジの読解は無理…

辺見庸

◆メイン・ストリートで長嶋茂雄が脳梗塞で倒れ、長嶋japanの野球は監督不在で金メダルを逸し、最強のプロ集団でも、責任所在明確な戦術、戦略がないと、戦いは個人的なスキルが高度なものであっても、そのピースの当てはめの知恵が欠けると勝利はムツカ…

ヘンリー・ダーガー

非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎 デラックス版 [DVD]出版社/メーカー: NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン発売日: 2008/09/26メディア: DVD購入: 19人 クリック: 121回この商品を含むブログ (50件) を見る◆彼(1892〜1973)にとっ…

榎本香菜子/少年を描き続けています

◆“♯葉っぱがアフォード♪阿呆ダンス♪♪”旧ブログの方は、今、引越し中ですが、このブログもあちらも、添付の画像に榎本さんの作品をよく採用させてもらいました。現在、彼女制作のカソリック系の絵本を世界同時発売中です。敬意を表してここに紹介させて下さい…

鶴見俊輔/戦後民主主義・狸大明神

◆『吟遊旅人』のぴぴさんが、『戦争が遺したもの』をテキストに読書会をやるので、ぼくのブログで鶴見俊輔に言及したものをピックアップしたら、沢山、あったのに驚きました。コメントも色々と頂戴している。『読書会』の資料として、参考になればと、まとめ…

アホでマヌケなマイケル・ムーア

◆映画『華氏911』を総括すれば、他の国の人々は、この映画でブッシュが嫌になったかもしれないが、肝心のアメリカ国民はこれによって、ブッシュ像が粉砕されたわけでなく、「やっぱ、ブッシュだ」とナットクして許容したのではないかという危惧です。弱さ…

ダイエーから、ウォルマートへ

◆本来、このブログでは縁がないカーネギーの『道は開ける』などの“自己啓発書”なんですが、飽くことなく需要はある。何せ、『道は〜』は戦前から世界中に売れて、聖書の次ぐらいのベストセラーズではないか?僕のオヤジにしても、八十歳を超えても、営業の仕…

斎藤環

大阪府立図書館経由で、『ゴダール全評論・全発言』?、?と、斎藤環の『フレーム憑き』(青土社)が地元の図書館に入荷し、借りることが出来る。本来なら府立図書館まで行きたいのですが、交通の便が悪いのです。ゴダールのものは勿論、映画評論ですが、斎藤…

斎藤環/マトリックス

『マトリックス』三部作は見ることは見たのですが、そしてその感想もBBSなりブログで、まとまりなく、書き散らしているのですが、生半可に批評家の言説を引用したり、ネット上のレビューの助けを借りたりで、判ったような風をしていましたが、「マトリッ…

花田清輝/レトリック・キング

花田清輝(1909〜1974)を読みたくなったら、未来社の個人全集を引越しの時、処分したことを思い出した。他の本は二束三文で、古本のオヤジに、そう言えば、花田清輝があると言ったら、眼の色が変った。ぼくは彼の思想の検証をするほど勉強もしてい…

ダイアン・レイン

8/3に記:あんまり暑くて梅田OS劇場に飛び込みました。『トスカーナの休日』を上映していました。ダイアン・レインを観たのは久し振り。離婚で傷心の女流作家が、旅行中にひょんなことから、トスカーナに古い伯爵夫人の屋敷を買ってしまい、屋敷の修繕と…

氷室冴子/なんて素敵にjapanって?

復刊ドットコムで遊んでいたら、氷室冴子復刊ページがありました。古典『とりかへばや物語』をネタに今の話語で抱腹絶倒、軽々と、性を超えて、ジェンダーフリーしてしまった『ざ・チェンジ』、平安朝を“あたし”なる文体で瑠璃姫が登場する『なんて素敵にジ…

大友克洋

昨日、梅田三番街で『スチームボーイ』を観たのですが、ぴぴさんの“シネマ日記”、武田徹さんのブログとは違った切り口と思って、珍しくメモも取らず、直にカキコしたら、怪談モードで、見事、消えてなくなりました。まあ、本日は、朝、眼が覚めたら、森岡正…

高橋三千綱/斬られて消えて、???

ぴぴさんが、“吟遊旅人”のブログで高橋三千綱(1948年〜)と高橋源一郎(1951年〜)との勘違いについて書いていましたが、そう言えば、三千綱は『退屈しのぎ』(1974年)で群像新人賞デビューしたのですが、『九月の空』(1978年)で剣道で…

常世田良

出版社は勿論、書店人でも、常世田さんは図書館人を超えてよく知られているらしい。一読書人のぼくでも知っているぐらいだから、幅広い活動をしている方なのだろう。“ぶらりさんのブログ”で、『浦安図書館にできること』(勁草書房)が紹介され浦安に住みた…

図書館改造計画人

常世田 九十二年に、市の国際交流事業の一環として、十三人の市民とともに、姉妹都市のフロリダ州のオーランドにある図書館に視察に行きました。そのとき、見学ツアーの対応をしてくれたのは、図書館員ではなくてそこの「図書館友の会」の人たちだったんです…

山田風太郎/戦後は余禄であったと、くノ一忍法

昭和19年、田中小実昌は甲種合格で徴兵され、山田風太郎は肋膜炎と診断されで徴兵を免れる。二人とも、戦中を生き残った運の良さがあったのか、それとも、逞しさがあったのか、多分、変幻自在な弱さ、柔軟さがあったのであろう、“くノ一忍法”の風太郎はフ…

梶山季之/死語となったトップ屋

梶山季之(1930−1975)をbk1で検索したら、データは579件もあったが、どうやら、ちゃんと新刊購入出来るのは『せどり男爵数奇談』(チクマ文庫)ぐらいなものである。彼は書いて書いて書き尽くして燃え尽きて、街の本屋、駅の売店と、雑誌、週…

小津安二郎

ぼくの周辺は小津さんの好きな人が多いみたい。ブログを覗いても、小津を熱く語っている。1963年に亡くなったのですから、リアルタイムに青春のぼくは小津映画を観ていいはずなのだが、全く観ていない。ただ、テレビの名作映画放映で、何となく、『東京…

◆『写真記録パレスチナ (1)』(日本図書センター)の巻頭で筑紫哲也は記述する 9.11の「衝突」に至る道筋の根源として「パレスチナ問題」があり、その解決なくして、どんな「衝突」が繰り返されようとも終わりはやってこないことは今や明らかである。い…

広河隆一/四十年、還暦の紛争ジャーナリスト

◆広河隆一が立ち上げた月刊誌『DAYS/japan』は幸先よくスタートしたみたいですね。通常かような雑誌は大手の取次で取り扱わず、通販と直に頼らざるを得ないが、リアル書店で購入出来ました。「一枚の写真が国家を動かすこともある」、「人々の意志…

佐野眞一からフリーランスのライター達

◆フリーランスのライター達にとって、佐野眞一は勝ち組のトップランナーに見えるであろう。でも、宮本常一を書いた『旅する巨人』で大宅壮一ノンフィクション賞を貰ったのが、50歳の時で、『東電』、『カリスマ』でやっと、そこそこ、食えるようになったと…

小文字で語るノンフィクション・ライター

田中小実昌/居候とエスケープの天才

◆渥美清の『フーテンの寅さん』は純愛で生真面目でストイックな悲劇性を感じるが、『フーテンのコミさん』には、一欠けらも悲劇性を感じない。平成12年2月27日、米ロサンゼルス市内の病院で肝不全のため死去した。74歳だった。コミさんらしい客死であ…

絵筆で呆けた町屋の旦那

◆『動植綵絵』(小学館)の生き物たちはユーモラスで、たくましく、一緒に遊び呆けて、ただただ、絵筆をふるう若冲が笑っている。八十五歳の長寿を全うしながら、その線と色との生きることのざわめきが作品全体の中で横溢する。 錦小路の青物問屋の旦那は家…

山中貞雄

◆もし、若い人に邦画でオススメは何?て訊かれたら、山中貞雄の『人情紙風船』をリストアップするのは間違いない。中国で戦死した彼(1909−1938)の作品は戦争などで焼失して、現在、鑑賞できるのは『丹下詐膳余話・百万両の壺』、『河内山宗俊』の…

この人の映画を観て欲しい

吉田修一/物語過剰でないパークライフが一番、好き

◆彼を知ったのは映画と本の好きな若者のメールからでした。芥川賞授賞作品『パーク・ライフ』を読んでの熱烈応援メッセージでした。「やっと、ぼくらの世代から誇るべき表現者が現れた」っと言った内容でした。「21世紀の夏目漱石です」と彼は言葉を継ぐ。…

村上春樹

◆戦後日本の文化はメインにしろ、サブにしろ、ポップなアメリカで、55年体制が崩壊してみれば、アメリカの影が鮮明に露呈して、アメリカ的パスク・ローマーナーの傘の下、何の躊躇もなく、真実一路、労組であれ、右左、上下とお金を追い求めた幸福な軌跡が…