2004-09-01から1ヶ月間の記事一覧

古井由吉

いわゆる〔内向の世代〕っていう作家たちは、僕には苦手であった。それが、最近、後藤明生も気になり始め、読み始めるようにはなったが、古井由吉で読了したのは、『杳子・妻隠』(新潮文庫)のみで、他の本は手はつけたものの、中断してしまった恥かしい想…

愛のABC

“酒とサッカーと本”のpataさんが、新装なった六本木ABCより、情報発信してくれました。 =しかも、六本木店は確実に閉店直後の状態よりも良くなっている。その理由はあまりにも単純かもしれないが、人文書のコーナーが元に戻ったこと。「六本木ABCが…

デール・カーネギー

図書館司書のぴぴさんが、“人を動かす”をキーワードに、どんな本があるのだろうかと、検索したら、その出版点数の多さに驚いたと、吟遊旅人のブログに感想を述べ、ご丁寧に、2000年以降出版のデーターを国会図書館から、ピックアップして=ブログにリス…

フランソワーズ・サガン/田辺聖子「悲しみよさようなら」

前日、森村桂の訃報に触れたのに、サガンが24日に死去したことを知りました。僕が現役の書店員の頃、朝吹登水子翻訳の新潮文庫は全点平積み陳列で、息長く続いたロングセラーでした。そりゃあ、ボーボワールやマルグリット・デュラスに比べると、文学史上…

トマス・ピンチョン

“king”さんのブログ『「壁の中」から』が始まりました。彼は1980年代生まれなのに、後藤明生のみならず、小島信夫、古井由吉など、内向の世代にフイットしたり、幅広い読書渉猟に勉強させてもらっています。bk1の66人の評者達と書いた『熱い書…

森村桂/又、ひとり、天国に行ったアリス

毎日新聞の朝刊で“森村桂さん自殺?”っていう不穏な記事が目覚めると、飛び込んだ。真偽のほどは分からないが、又、ひとり、いまだに大きな文脈として、この国の文化の固執ともいうべき“癒し”、“メルヘン”の滴りを絶え間なく発信していたアリスの巫女が消え…

いのち/隔離

多動症?的な気味のある僕がそれでも、PCを購入してから、二年半のネット生活でbk1にレビュー投稿、今は閉鎖中である“武田徹BBS”にカキコで書き込みの初体験をして、森岡正博生命学HP(ここも、もうカキコしていませんが…)、ぴぴさんの“吟遊旅人”…

ブルース・エット

村上春樹の新刊『アフターダーク』が届きました。ありがとうございます。さて読むためのウオーミング・アップで、名曲“ファイヴ・スポット・アフター・ダーク”が収録されている名盤『ブルース・エット』のカーティス・フラーをエントリーしました。 昭和30…

京阪電車で60年代を行く

今日は、京阪電車を行ったり、来たりしました。=京都恵文社一乗寺店・ギャラリーアンフェール=で、鴨居羊子の世界ーミス・ペテンー展が開かれました。細江英公の鴨居羊子手作りの人形をモデルに撮った写真も展示されていました。『鴨居羊子コレクション(…

田中エリス&森岡正博

《bk1レビュー》 最狂のロリーター詩人『きゅるるん大革命』(マーブルトロン)という萌える現代詩なるものを手に取った。森岡正博氏は解説する。 若い女性詩人の詩と言えば、恋愛ものか、セックスものか、自傷ものか、癒しものか、夢見るポエムと相場が…

嶽本野ばら/サリンジャー/乙女って何だろう?

サリンジャーの「ライ麦畑のキャッチャー」モードになってしまったのか、昔々、忘れ果てた無垢の美心(ミシン)について、愛憎こめて思いやると、どうしても、ホールデン君は好きになれず、妹のフィービーが大きくなったら、どんな風になるだろうと、考えて…

伊藤文学/バ〜ラが、散った、真っ赤なバラ達が

“うたかたの日々”のソネアキラさんのネタで知ったのですが、今月発売中の『薔薇族』が382号で廃刊になりました。編集長の伊藤文学さん、ご苦労様。創刊されたのが、’71年7月って言うことは三島由紀夫が自裁した翌年になる。公式HPを見ると、故寺山修…

ピテカントロプス

青木淳悟の新潮新人賞授賞第一作『クレーターのほとりで』に又、触れますけれど、 保板で、継続して書き込みをしているのをロムすると、『たま』が突然、出てきました。そして、記憶が蘇りました。 「今日人類がはじめて 木星についたよ ピテカントロピスに…

セレクション

書評行為

保坂和志さんのBBSでちょいと、コンテキストから外れたカキコで“書評のようなもの”について覚書を書いてしまったのですが、生煮えのままの、僕自身検証すべきテーマーなので、そのコンテキストから、思い切り、関係なく、こちらのブログに一部引用貼り付…

ジャン=リュック・ゴダール

あれはかって一度も見られたことのなにかでした。歴史〔あるいは「物語」〕をもっていない世界、それでいて、語ることに時間を費やしている世界でした。そしてとりわけ、あれは読むことをこえたところにありました。事実、ランボーやマラルメ以降、書くとい…

墓参り/饒舌あまりにも饒舌、彼岸かな

墓掃除をしてきたのですが、真向かいの墓地の区画はいつも、草ぼうぼう、今日も気になって手入れをしようと思ったら“ひっつきむし”の逆襲に会いました。五輪塔の墓石も鳩の糞か、鳥の糞で黄色くなっているので、スポンジで綺麗にしようとしたら、屋根の反り…

ジョルジョ・アガンベン

【A】《[…]ホモ・サケルを狼男に、また古代ゲルマン法の「平和なき者」に、はじめて近づけた。[…]古代ゲルマン法を基礎づけていたのは、平和という概念と、これに対応する、悪人の共同体からの排除であるという。そのように排除された悪人は平和なき者とな…

自己家畜化

/そして生態学の基本原則として、自然状態では生物は環境収容力を超えるこえることはできないというものがある。ただし人為による家畜化を伴えば、環境収容力を取り払える。現代人は科学技術の力で自らを家畜化したために、五十九億という個体数を誇ってい…

ハーバーマス/自由の相互承認

大澤:〔……〕一方に、普遍的な正義を抽象的な形式として提示しうると考えたモダニストがいて、他方には、そういったものを相対化してしまい、正義や善の普遍性をまったく信じないポストモダニストがいる。今、おっしゃたようにポストモダニストの相対主義は…

古生物

榎本香菜子の『最後の個体』の画像の鳥を見ていたら、そうか、恐竜は六千五百万年前に絶滅したのでなくて、今、現在、鳥という姿で生き延びているのだ。 それが、古生物学の通説らしいですね。河合信和の『ネアンデルタールと現代人』によると、 /鳥類は、…

青木淳悟/文学はまだ、終わらない

保坂和志公式ホームページで、新潮新人賞受賞作家第一作『クレーターのほとりで』を保坂さんが絶賛していたので、気になり読んでみました。「病んだ精神病的、犯罪者的な想像力でなく、まさしく文学とか芸術でしか現れてこない想像力」という言い方で評価さ…

ハンナ・アーレント/記憶すべきパラグラフ

アイヒマンという人物の厄介なところはまさに、実に多くの人人が彼に似ていたし、しかもその多くの者が倒錯してもいずサディストでもなく、恐ろしいほどノーマルだったし、今でもノーマルであるということなのだ。〔……〕この正常性はすべての残虐行為を一緒…

プロ野球スト

9/18日記:とうとう、プロ野球のスト決行となりました。一連の動きを追っても古田選手会長は、ようやったと、素直に拍手したい。それに呼応するかのように、ネット上でも様々なエールがおくられていますね。あまりに拍手喝采の声が大きいし、多数派と少…

丸善

9月14日に丸善本店が世界一の売り場面積で開店。コンセプトは『Book Museum』です。色々なサービス提供があるみたいですが、開店日は凄い人出だったらしい。さっそく、Braryさんが、“猫の夜会ライブラリー”にレポートをアップしています。…

安井曾太郎(1888〜1955年)

このブログで画像を提供してもらっている榎本香菜子さんが、目出度いことに、「損保ジャパン美術財団」を冠した賞をもらったのですが、あまり、馴染みのない名称なので門外漢にはQ?がつきましたが、彼女の説明では具象画の登竜門ともいうべき安井賞がなく…

野村芳太郎/再現がきかない

片岡義男の『自分と自分以外』(NHKブックス)を読んでいたら、無性に昭和30年代の映画を観たくなり、京都府立図書館に『ホモ・サケル』を返却したおり、多分、オールロケの『張り込み』(松本清張原作)をビデオで見せてもらいました。東京から佐賀ま…

ジョルジョ・アガンベン

☆1・『ホモ・サケル』(以文社)、2・『開かれ』(平凡社)、3・『スタンツェ』(ありな書房)、4・『人権の彼方に』(以文社)、5・『中味のない人間』(人文書院)、6・ 『アウシュヴィツの残りもの』(月曜社) ☆参照:小泉義之著『ゾーエ、ビオス…

日野啓三/ポスト911

あっけなく崩れ落ちた二本の世界貿易センタービルとそっくりの超高層ビルを建てる、と言い出している企業があると、CNNテレビのアナウサーがうれしそうな声で言っていたが、旧来のマンハッタンの傲然とおぞましい夜景にかわるべき新しい未来風景を私たち…