2004-07-01から1ヶ月間の記事一覧

永江朗「トンガリヘッドの優しい不良青年」

のための文章術 (NHKブックス)" title="のための文章術 (NHKブックス)" class="asin"> ◆永江さんは右肩上昇の発展途上なので、代表作と言えば語幣があるかもしれないが、『批評の事情』(原書房)を第一にあげます。bk1のレビューを見ると、山形浩生さん…

山形浩生

出版科学研究所のまとめによると、2004年1〜6月期の出版販売金額は1.0%増の1兆1395億円。書籍が3.2%増の4987億円と牽引した。雑誌は0.7%減の6408億円。《「新文化」より》特に書籍が伸びている。⇒山形浩生の『本屋の機能と街の盛衰』

きゃぴきゃぴな負け犬の擬態

◆『負け犬の遠吠え』は本年上半期に話題になった本である。出版業界全体も売上げが七年間マイナス基調できていたのに、本年、決算では微かながらプラスに転じている。実感はないけれど、ABCが廃業という事態があったものの、世の中は少しなりとも景気がよ…

本屋一筋

書店風雲録 (ちくま文庫)作者: 田口久美子出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2007/01/01メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 20回この商品を含むブログ (60件) を見る◆『書店風雲録』(本と雑誌社)は単なる書店物語としてではなく、80年代のリブロ池袋店を…

リチャード・ブース

◆ヘイ・オン・ワイはイギリスの田舎町である。何と古本屋で町おこしをやってしまったのです。その町の王様がブースっていう本オタク。その規模たるやデカイ。映画館を買い取って、25万冊の古本屋に仕立てる。おまけにその発想たるやユニークです。古書店主…

逃げる

◆高橋源一郎ブログや、“kingさんの古井由吉『野川』の書評”を読んで、二つの戦争のことを考えました。勿論、ぼくが体験したのは二つ目の経済戦争であり、高度成長、バブルへと経済戦士は戦ったわけですが、ぼくは結局、逃げてばかりいたなぁ…。それが実…

人間は犬に食われるほど自由だ

◆『メメント・モリ』のスライドショーはサイトで体験できるが、彼のメッセージが余すことなく表現されている。還暦の切れ目に3/3〜3/15 梅田の大丸ミュージアムで『藤原新也の聖地○旅と言葉の全軌跡展○』の展覧会が行われ、一筆で書いた御地蔵さんの…

松岡正剛/書痴遊人

◆6/9に梅田のブックファーストを覗くと、松岡正剛フェアをやっていた。去年、西天満の大江ビル地下にあった“アムズ”っていうクオリティ性の高い(何せ、最初に行ったとき、床が綺麗で、京都のアスタルテ書房のノリで、履物を脱いで、裸足になり、店員の方…

武田徹/知の探偵

◆『調べる、伝える、魅せる!』(中公新書)の武田さんをネットの師匠と勝手にリスペクトしています。彼の知はバランス感覚の良さだと思う。科学ジャーナリストとしても一流だし、政治、経済、社会問題に関しても、傾聴すべきヒントを与えてくれる。戦争報道…

丸山健二/ストイックでセクシーな男

◆今日の毎日新聞の書評欄にスキンヘッドの丸山健二の写真がアップされていた。最近、スキンヘッドにしようかどうかと、迷っているぼくにとって、あまりにも格好の良い参照例である。「よく似合っている、オレもこうなるだろうか?」と、期待が膨らみました(…

田中康夫/ヤッシーラビット

◆大正生まれの老母は田中康夫が好きだ。「おまえや、小泉純一郎と違って言語明瞭だ」と言うのです。典型的なポストモダンの作家であっても、彼は政治家として振舞う時は反論が困難なほど、論理明晰なメッセージを用意する。bk1で「戦後政治を考える」とい…

茂木健一郎

◆『脳の中の小さな神々』(柏書房)は聞き手が歌田明弘さんで、茂木健一郎の語りですが、自由奔放に快刀乱麻の脳内講義をしてくれる。カバー作品は林茂樹で「Heart break night 2003 陶」、粋なカバーでしょう。読書途中なのですが、早々…

保坂和志

◆「猫マンマ」って言うと、ぼくの子供時代の残り物定番食事メニューだったが、保坂和志さんとは一回り違う申年だから、もうそんな犬猫と変らない子供マンマの食事経験はないのと思う。ある人が好意的に保坂さんは金太郎飴って言ったが、どこから、かじっても…

保坂和志/6/16記(旧ブログより移動)

◆『季節の記憶』(中央公論新社)は子育ての経験のないぼくでも、鎌倉の稲村ガ崎での、主人公の「僕」と五つになるまだ、文字の書けない幼稚園も行っていない、子どもの「クイちゃん」と近所の松井さん、美紗ちゃん兄妹たちとの毎朝の散歩、松井家、「僕」家…

大澤真幸/読書会

今年、大川沿いの図書館で大澤真幸の『文明の内なる衝突』(NHKブックス)をテクストに読書会をやりましたが、膨大な参考資料は集まったのですが、大澤さんの姿が見えてきたどころか、益々謎が深まったという感じです。本書で、この糞詰まりの状況から脱…

保坂和志/6/5記(旧ブログより移動)

◆『プレーンソング』(中央公論新社)を読了したので、そのことに触れながら、過日のぴぴさんのコメントに答えようと構えていたが、巻末の解説で四方田犬彦が無駄なくまとめてくれている。それを一部、引用します。 もう誰もを信じさせることのできる強烈な…

野間宏/武骨な戦後派

青年の環 5 (岩波文庫 緑 91-7) ◆確実に「戦後の何か」が消えている。過日、本棚の整理をしていて、野間宏の自筆のサインに=ものみなは/炎の縛解いて/馳けて行く=と扉に書かれている本を発見した。文は昭和40年代に『青年の環』(河出書房)が完結して…

保坂和志/5/27記(旧ブログより移動)

◆『この人の閾』(新潮社)紹介:主人公のぼくは世帯を持って旦那と子どもと、まあ、幸福な生活を営んでいる女友達の自宅を昼下がり、ふと、思いついて仕事の時間空きを利用して、十何年ぶりかに会う段取りをする。大学時代同じ映画サークルに属して、気兼ね…

小熊英二/「のりしろ」奏者

◆引用で編むクリエーティブな『<民主>と<愛国>』(新曜社)の小熊英二は学者でありながら、キャリアのあるミュージシャンでもある。去年、季刊雑誌秋号で『本とコンピュータ』の表紙に彼の写真が掲載され、てっきり、編集方針を変えて、アーティストの惹…

京都ジュンク堂

◆昨日(6/24)、京都ジュンク堂に寄りました(旧ブログ転載)。三階のチクマ学芸文庫で大槻文彦の『言海』を見る。先日、毎日新聞の書名コラムで文庫になった「言海」のことを書いていたのです。2200円也。だが、哀しいかな、老眼をしても、読むのに…

保坂和志/5/27記(旧ブログより移動)

『猫に時間の流れる』(新潮社)紹介: 野良猫のクロシロは、読み終わって随分経つのに、ひょんな時に、ひょんなところで、思い出す。詳細な筋書きは定かでないのに、クロシロの存在感だけは澱となって沈殿している。作者はクロシロを擬人化しているわけでも…

森岡正博/痛みの人

◆『無痛文明論』(トランスビュー社)に痛々しさを感じた。勿論、読み手をも、引き込む。作者と対峙を余儀なくされる。息苦しい本でもある。誠実な人なのです。始めて講演会で森岡さんにお目にかかったとき、会津白虎隊の凛々しい美少年振りを大人の森岡さん…

小林秀雄/7/17記(旧ブログより移動)

◆暑さにうんざりしながら、糾す森の近くにある『ただすの森のハリネズミ』というおもちゃ屋さんに行って来ました。自然を素材にした素朴玩具で中々楽しめる店でした。買い物を済ますと、店の人が下鴨神社の「足つけ神事」、=みたらし祭=があると言う。御手…

内田樹/街場のサムライ

◆“内田樹ブログ” 『街場の現代思想』(NTT出版)っていかにも内田樹らしいタイトルのつけかたです。田口久美子が『書店風雲録』で書いていたように池袋のリブロ店は「街場のポスト・モダン」みたいなところだったらしいが、内田さんは左手にレヴイナス、…

クリント・イーストウッド

アメリカの友人 [DVD] この二本の映画の間にどんな違いがあるというのですか? 君はどうして、クリント・イーストウッドの映画を現実主義的な映画と思うのですか? 君は彼の映画を好きじゃならしい。でも彼の映画のどこに、現実主義的なものがあると言うので…

高橋源一郎(5/3旧ブログより転載)

◆『高橋源一郎』日記を久し振りにロムしたら、『大人は愉しい』で内田樹とのメル友交換日記を出版した鈴木晶さんっちで、バーベキューパーティーとある。メンバーはと見ると、勿論、内田樹、加藤典洋と、四人で何の大人の会話をしたのか、気になるところだが…

高橋源一郎/しまうま語をしゃべる人

◆『日本文学盛衰史』(講談社文庫)はネットでも、最大限好評なレビューが多く、この本をネタにしたブログでも、読ませるものが多い。勿論、読んでいるときも楽しいし、その山田風太郎顔負けの飛躍の仕方とエンターティメント性に脱帽してしまう異説、物語性…

松岡正剛(7/13記)

本が好きで好きで堪らない那須野さんから、大阪北で開催されるアットホームな集いの案内が来ました。書店員、図書館スタッフ、出版社の方々のみならず、本が好きで、本そのものだけでなく、周辺情報を仕入れたい方は、有意義な楽しい夜を過ごせると思います…

クールな出版・流通人

◆小田氏に本屋について語らせれば、興味がつきない。文学を語るだけでなく、計数に明るい出版流通の分析にも定評がある。彼の既刊本で色々と目からウロコが落ちた状態になったので、新刊はいつもチェックしています。彼のキーワードは[郊外]と思う。最新刊…