大澤真幸/読書会

文明の内なる衝突―テロ後の世界を考える (NHKブックス)

今年、大川沿いの図書館で大澤真幸の『文明の内なる衝突』(NHKブックス)をテクストに読書会をやりましたが、膨大な参考資料は集まったのですが、大澤さんの姿が見えてきたどころか、益々謎が深まったという感じです。本書で、この糞詰まりの状況から脱却するには重要なタームとして作者は「恥」を持ち出したのですが、その恥そのもののアクセスも読み手によって違ってきて、一体「恥って」何だろうと、宿題を持ち帰ったが、収穫と言えば、言える。作者は『恋愛の不可能性』、『性愛と資本主義』とか、無償性の徹底した贈与とか、彼が語る他者への口舌はまるで、「恋愛論」に聞こえて仕方がなかった。“社会学で恋を語る人”なんだろうかと、一歩引いて考えもしたが、恋は言葉でいくら、語っても、実践あるのみだもんなぁ…と、中村哲さんの井戸掘りに無言で恋する男をみた気もしたし、実際、イラクで散った橋田さんは、そうだったんだろうなぁと、考えもしました。