丸山健二/ストイックでセクシーな男

荒野の庭―言葉、写真、作庭鉛のバラまだ見ぬ書き手へ (朝日文芸文庫)争いの樹の下で〈上〉 (新潮文庫)争いの樹の下で〈下〉 (新潮文庫)
◆今日の毎日新聞の書評欄にスキンヘッドの丸山健二の写真がアップされていた。最近、スキンヘッドにしようかどうかと、迷っているぼくにとって、あまりにも格好の良い参照例である。「よく似合っている、オレもこうなるだろうか?」と、期待が膨らみました(笑)。新作『鉛のバラ』(新潮社)はまるごと、高倉健主演の小説である。ストイックでセクシーな男がふたり、二輪のバラが物語りを編み出す。『安曇野の白い庭』でガーデニングと格闘している作家が高倉健にぶっつかったのです。『争いの樹の下で上・下』(新潮文庫・品切れ)は小説の面白さを久し振りに堪能させてくれたものであったが、文壇から遠く離れ、独りオオカミとして安曇野で庭作り、バラ作りに日々遊び闘い、彼は素敵な生き方を実践している。彼の作家としての姿勢は『まだ見ぬ書き手へ』で、まっとうに語っている。彼は二足の草鞋も、書けなくなったら、天下りのような糊口を凌ぐことはやらないであろう美意識を強烈に持った自負の高い文士なのでしょう。高倉健丸山健二とは奇妙な組み合わせと思ったが、作家と同世代のぼくの友人たちを見渡すと、隠れ唐獅子牡丹の健さんファンが多い。インタービューでこう答えている…

「高倉さんの映画は全部見ていますが、個人的に満足する作品がなかった。彼の才能のすべてを発揮できる映画ができないのなら、小説でやってしまおうと考えました」