図書館改造計画人

常世田 九十二年に、市の国際交流事業の一環として、十三人の市民とともに、姉妹都市フロリダ州のオーランドにある図書館に視察に行きました。そのとき、見学ツアーの対応をしてくれたのは、図書館員ではなくてそこの「図書館友の会」の人たちだったんです。もちろん、館長が出てきて図書館の説明をしますが、食べ物や飲み物の用意とか車の手配とか、みんな「友の会」がやってくれるわけです。館内にある図書館グッズを売っているショップを運営しているのも「友の会」で、年間一千万円を図書館に寄付している。アメリカの「図書館友の会」は、自分たちの地域社会を強くするために図書館を支えていこうというはっきりした目的をもっています。ですから、住民の意識としてはサポーターというより、オーナーなんですよ。/そういう姿を見てきた市民たちが中心になって、翌九十三年につくったのが浦安の「図書館友の会」です。この「友の会」は圧力団体ではなく、いわば図書館のサポーターで、議員などにたいする「ロビー活動」にも取り組んでいます。/同じようなことは永井さんもなさっていますね。永井さんが、鳥取県で地域住民によびかけて「児童文庫」を広められ、書店のなかに司書がいる「子どもの図書室」をつくられた取り組みは、市民だけでなく、図書館にとっても心づよい応援団だったと思います。
永井 鳥取県には戦前にも住民による図書館づくりの運動がありました。明治期にはすでに教育家の遠藤薫らが私立の文庫や図書館づくりの活動をしている。それが1931年の県立図書館の設立につながったわけです。そこは、当時はやっていたフランス映画『パリの屋根の下』をもじって「図書館屋根の下」とよばれる文化サロンでした。(笑)−季刊本とコンピュータ第二期九号より−

永井信和(1942〜):今井書店グループの会長、米子市内の「本の学校」を通して、書店員の研修、出版人たちの勉強会や、地域の文化活動のみならず、全国の本好きな人々に情報発信している。
常世田良(1950〜):浦安市立図書館長、日本図書館協会常務理事、ビジネス支援図書館推進協会幹事、文化庁文化審議会著者権分科会委員。『浦安図書館にできること』(ケイソウ書房)など、
菅谷明子著『未来をつくる図書館』http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/3ce49383b4c4d0106b76?aid=clp&bibid=02366680&volno=0000
本とコンピュータの『図書館改造計画』http://www.honco.jp/editors/#tosyokan
『天空の隠れ家』http://kuriyamakoji.blogtribe.org/entry-38862334bbd41563ed63f5bbfcfd8db7.html