ダイエーから、ウォルマートへ

私のウォルマート商法 すべて小さく考えよ (講談社+α文庫)カリスマ―中内功とダイエーの「戦後」〈上〉 (新潮文庫)人を動かす 新装版道は開ける 新装版ウォルマート方式―巨大外資の戦略と流通再編のシナリオ
◆本来、このブログでは縁がないカーネギーの『道は開ける』などの“自己啓発書”なんですが、飽くことなく需要はある。何せ、『道は〜』は戦前から世界中に売れて、聖書の次ぐらいのベストセラーズではないか?僕のオヤジにしても、八十歳を超えても、営業の仕事で働く以外のことに何ら趣味がなかったが、このカーネギーの本はちゃんと、読んでいた。もう、物故(明治45年生まれ)したが、ここまで、働くことが内面化されてしまうと、強固な自己同一化となってしまう。その倫理意識と青春を南方、大陸と兵士として戦い、生き残った強かさとが、補強されて、戦後の日本経済の復興と、成長がアメリカの傘の下で、なされた状況の経済の一兵卒として生きたことは疑いない。
◆実父が例外でなく、そんなオヤジが沢山、いたということです。その二代目たるぼくは“いい加減なもの”で、まあ、ぼくは例外で、大多数はオヤジ達のバトンを引き受けて、60年代のエディプスコンプレックスの危機を乗り越え、父に成り代わって、より、リアルにクールに師匠たるアメリカまで、顔色ならしめる社畜として徹底したイケイケどんどんで、バブルを突っ走る。
◆ぼくが小売業界の社畜になって与えられた自己啓発書が渥美俊一著“講座ビッグストアへの道?巻”『小売業成長の秘密』(ビジネス社1979年)で、とに角、丸暗記させられました。社長はまず、真似ろ!学ぶことはそれからのことだ!ダイエーの中内さんと親交があったためか、殆ど中内理論と近いものだったでしょう。とに角、進軍ラッパで、量の拡大、そのスケールメリットを商品だけでなく、資金繰りにも、一円の貯金より、一円の投資と、ダイエーの全国制覇と歩調を合わせて、突き進んでいったのです。そんななりふり構わない振る舞いは業界の“織田信長”と言われて、そのあまりの過激さに不安を覚えたのか、問屋筋に突然、梯子を外されたが、小売業では恐らく、初の事例となった会社更生法が適用された。
◆僕たちも社員総会を開き、労働組合を立ち上げる。リボン闘争も経験し、原宿通りをデモ行進しました。でも、上部団体には所属せず、高田馬場の民間アパートを借りて組合の事務所とし、夜な夜な、都内、横浜、千葉、大宮など、関東一円から、店での仕事を終えて、集合して、活動方針を検討する。そんな努力とやる気が効を奏したのか、現金商売なので、出店という冒険を控えれば、余裕が出てくるのか、問屋筋も店頭第一と、コンセンサスがとれてか、更生会社になったのに、みんなの給与があがりました。短期間のうちに会社更生法が解除され、社長は引退を余儀なくされたが、法定管財人となった弁護士が債権者会議の決定を受けて、代表取締に就任する。
◆そんな会社の理論武装書でもある渥美俊一なので、念のため検索したのです。いや〜あ、もう品切れ絶版ですね、そりゃあ、そうでしょう。中内カリスマの没落の軌跡と歩調を合わせているはずだと、思いきや、世界一のスーパーウォルマートにがっちりと食い込んでいるみたいですね。ウォルマートと言えば、ダイエー産業再生機構活用の適用になるか、それとも、自主再建の道を行くか、どちらにころんでも、双方のスポンサーになると名乗りを上げている。さて、ダイエーは再生機構活用を嫌がっているが、駒はどちらに転ぶか?今、最大の関心事かもしれないプロ野球の再編問題にもかかわってくるから、目が離せませんね。

でも、サム・ウォルトンって何者なのか、気になりますネ、渥美俊一は、ウォルマートの小売業の秘密を語ることに路線変換したのか…。経営コンサルタントって、忍者みたいですね。