魔男の心得講座/西の魔女が死んだ

梨木香歩の『西の魔女が死んだ』を読みました。悪くない本ですが、あんまりすっきりと感動を貰いました言いたくないなあと言ってみたくなるほど、直球勝負の健康な児童書です。bk1の書評を見ると、一杯ありますね。素直に高い★印をつけています。とても幸福な作者なんだ。ぼくがこれ以上何を言えよう。HPを見ると、NHKでよく朗読されているんですね、なるほど、ラジオ深夜ドラマで癒されて深い眠りにつくのもいいか、「魔女の心得講座」の一つ、“ものを見る”

「できますよ。コツはね、朝、目覚める寸前の、あの夢と現実の境の感じをしっかり自分のものにするんです。これから毎朝、その瞬間を意識して捉えてごらんなさい。そして、自分で見ようと決めたものを見ることができるように訓練するんです。最初はマグでも、りんごでもいいんです。それができるようになったら、今、現実には見えないもの、例えばこの箱の中身だとかそういうものを見たいと思い、実際に見えるようにするんです。そうなるまでにはかなり時間がかかりますけどね。でも、気をつけなさい。いちばん大事なことは自分で見ようとしたり、聞こうとする意志の力ですよ。自分で見ようともしないのに何かが見えたり、聞こえたりするのはとても危険ですし、不快なことですし、一流の魔女にあるまじきことです」(100頁)

成程、僕の少年時代は余りに妄想を見すぎたのかもしれない。取り返しがつかないですね。でも、いまから、少しでもマットウに“ものが見える”ようになりたいものです。男の子で大好きな物語の一つは『リトル・トリー』です。少年はチェロキー族の生き方を通して男になる。でも、魔男とは言わないですね。
参照:http://d.hatena.ne.jp/nao3307/20050604