京都へ反語的環境問題

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 武田徹オンライン日記で紹介の林達夫の反語的精神又、読みたくなりました。僕の本棚にあるのは、平凡社です。岩波で復刊されたのですね。
 ところで、今から国立京都国際会館へ行ってまいります。メインホールで、『考えよう、地球環境のためにできること』の「環・響コンサート」と「脱温暖化フォーラム」があるのです。聴講券をもらったので、参加というわけです。久しぶりの京都です。
 帰りました。ホールに予想以上の聴講者が集まりましたね。主催社側もびっくりしていました。映画『不都合な真実』の影響も少しあるのかなぁ、フォーラムも結構盛り上がって、30分オーバーでした。環境がトレンドになることはいいことだと思う。悪くはない。環境を前向きにやったら得するビジネスモデルをデザインすることは、山根一眞さんの書く『環業革命』でもあるのでしょう。
 鮎川ゆりかさん(WWFジャパン気候変動グループ長)の警鐘は説得力がありました。佐川急便の環境推進担当部長の松本秀一さん、星野知子さん、コーディネーターの内藤正明さんと、傾聴に値したのですが、日高敏隆さんの人間の都合で自然をいいように利用しつくしながら、人間の手で又、人工的に環境対策をしようとすることは、不都合が生じるおそれがないとは言えない、といういじわるじぃさん的物言いというか、ディタッチメントとも言うのでしょうか、反語的精神だったと思う。
 例として色々なエピソードを披露しましたが、例えば砂漠を緑化しようとして、植林をする。地中深くの地下水を木の根が吸い上げる。確かに、最初は緑化が実現出来た様相を呈しても、地下水が枯れ、結局、砂漠化が進行する。そうならばと、水をふんだんに撒いて砂漠に水が浸水して、でも、熱さで結局、水が蒸発して塩分が残って行く。前より砂漠化が進行する。そんな事態があるわけですよ。その処方箋の有効性が予想外の展開になることもあり得る。
 医療の問題も似たようなことがあるでしょう。治療効果が確かにデータとして検証されても、五年の経過観察を過ぎて思わぬ事態が生じる。でも、そんな風に考えられるからと言って、人間は何にもしないことを選択しないと思う。むしろ、「不確実」だからこそ、チャレンジする。地球に優しくというより、人間に優しくという視点でとにかく延命を心がける。
 そのジタバタが逆に寿命を縮めることになろうとも、何でもやろうとする。恐らく、この人間の文明を生んだのは「欲望」であろう。「欲望」が欲して「無痛文明化」へと進行するが、「環境問題」が前景化した背景にはこのまま行くと「文明」はあるシーンから「無痛装置」が維持できなくなるという人間の都合ではないか、環境問題を勘定にいれなくとも「無痛文明化」が出来得るなら、それでいいのです。多分。環境を放置すると、安穏な暮らしが実現困難となる、だから危機感を持ち始めたので、「無痛文明の暮らし」をやめましょうというわけではないのです。
 まあね、経済という土俵で「環境問題」を考えているからこそ、解決の糸口はあるとも言える。でも、それは単に対処療法かもしれない。
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