トラバに応えて、♪ビンボー

 ネット上でもお目にかかったことのない実物日記さんからのトラバが入っていたので、ナンダロウとクリックしたら、今回の『論座 4月号』の応答をコメントをつけて整理して下さっている。その中で僕が去年、書いたテクストも紹介されているのですが、赤木さんとのネット上での応答が千切れなく継続しているんだと再確認しました。

赤木さんの腹立たしさはかって「実存あふれる豊かな社会」で生きてきた人間(団塊の世代)達の節操のないフットワークなのかなぁと思ってみたりします。恐らく、今の時代は貧困層(不安定C層)に対して、かって、オヤジ達が若い頃に貧しかった頃と比べて社会が見る目が全く異なっているということでしょう。そこが一番の問題点だと思う。そこだけ僕はフォーカスして語りたいと思う。http://d.hatena.ne.jp/kuriyamakouji/20061228/p1

 成る程、僕はこんなことを書いたのか、恐らく僕の中にかって「ビンボー」が「まんざらではないもの」としてあったし、今の時代で「セレブ」が「よきもの」としてあるけれど、少なくとも「セレブ」がもてはやされる時代ではなかった。かって、丸山明宏の『ヨイトマケの唄』に感動した。(先日、このブログでも紹介しましたが、youtubeで『ヨイトマケの唄』を聴き熱い気持ちになってしまったから、この名歌はまだ、有効ですね)そして今、セレブの象徴みたいな美輪明宏がいるわけですよ。だからと言って僕は「ビンボー」の肩を持とうとしているわけではない、どちらの「明宏」さんも好きなわけです。
 僕は藤原新也『黄泉の犬』のレビューを雑誌『オルタ 1月号』に書きましたが、そういう気持ちで書いたと思う。問題は社会のシステムが大幅に変わったということでしょう、と言うより「世間の目」が単に変わって、空気の流れのようなものかもしれない。で、潮目によって又変わるかもしれないね、まあ、あやふやのものであって、確固たるシステムが変わったというものではないかもしれない。
 卑近な例で具体的に書くと、例えば高校受験において、例外があるものの、原則として、公立高校が、その地域内で有名進学校であって、私立高校はスベリ止めで受験したわけです。そして国公立大学に進学する人達の割合は経済的に余裕のない子弟が多かった。カネがなくとも教育が受けられる、カネがないからこそ、より高い教育を受けて立身出世するみたいな回路が共有されていたわけでしょう。
 そう言えば僕が在学していたある県立高校(途中で転校しましたが…)で、母子家庭の生徒が、一生懸命勉強して東大に入り、国家公務員となり某省の事務次官までのぼりつめて、問題を起こし退官になって、今は郷里で逼塞しているらしいですが、彼は少なくとも官僚として、福利厚生の社会システムを有効に構築したいという「正義の野望」はあったわけですよ。政治の泥沼に飲み込まれていってしまったが、その原点は信じたい。
 似たような例は他にもあると思う。とにかく「ビンボー」という基盤が「よきものへ」向かうエネルギーを充填させていたことは間違いない。今は、その「ビンボー」が人びとを「社会的なもの」へと動かすものとして稼動しないないどころか、個人的な「一億円儲ける方法」みたいな実用に向かう。
 「忌むべきもの」として社会から排除しようとする「いやな空気」を感じるわけです。社会改良の動機付けに向かわない。
 だからと言って「グッとくる貧乏特集」をやってもアナクロですが、「グッとくるセレブ特集」ばかりだと、ウンザリしますよ。僕は左翼/右翼という立ち位置で語ることが苦手ですが、このビンボー/セレブという応答なら多少饒舌になることが出来るかもしれない。
 少なくともかって、赤木さんのような貧乏の若者がいても、「不信なもの」として後ろ指さされることはなかった。まあ、これは僕の話ですが、風来坊の僕にでも見合いの話は結構来たのです。定職がないよと言っても、全然、紹介者は気にしない、物凄く安定した仕事まで用意してくれる。確かにそんな御節介は今ではないでしょうね。
◆でも、かようなコメントがつくと恥ずかしいものがありますね。

 今のところ、こちらの見解がもっともすっきりしているように思う。左翼右翼ではない。この前提をどこまで認識した上で語り合うか。左翼言論の輪の中だけで終わっては物足りなさ過ぎる。議論の下敷きに利用されてる戦争待望論に右翼的立場から賛同・批判する人は、絡んできてくれないのだろうか?
http://d.hatena.ne.jp/bullet/20070307

 実物日記さんが最後に「そういえば、元一水会代表の鈴木邦男氏に何故、オファーしてないのか。右翼に提供できるものと左翼の限界。鈴木氏は適役の一人だろう。」と書いていますが、僕も鈴木さんのコメントが聞きたいですね。
 参照:なぜ「豊か」にならないのか!? - 風の旅人 編集便り 〜放浪のすすめ〜
 豊かさと「生き辛さ」 - 葉っぱのBlog「終わりある日常」