昭和8年の大阪「頼りにしてまっせ」
- 出版社/メーカー: 東宝
- 発売日: 2005/02/25
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昭和12年までの3,4年間はこんな風に華やかで暢気だったのだろう。
昭和30年の制作。付録に山根貞男のお楽しみゼミナールが添付。
「夫婦善哉」の魅力の中心は、なにより大阪弁の独特な味にあるだろう。
描き出されるのは、どうしようもなくダメな男の話であり、もしこれが大阪弁のドラマでなかったら、それこそただどうしようもなくて、見ていてうんざりし、ついには腹が立ってしまうかもしれない。大阪弁の味わいが、それを逆転させてしまう。ぐにゃぐにゃした大坂弁の肉感的な力が、生活のなまなましさをいわば皮膚感覚として表現して、どうしようもないダメ男を憎めない男に、むしろそれ以上に、じつに人間くさい男に、見せてしまうのである。
そのことがもっとも際立つのはラストシーンの会話で、ぜんざい屋から雪のちらつく路地に出てきた森繁久弥が「頼りにしてまっせ、おばはん」と言い、淡島千景が「へぇ、おおきに」と受ける。ふつうなら会話になりえないセリフのやりとりであるが、肉感的な大阪弁によって、それが実感あふれるものになっている。(略)
この映画は当時、大ヒットし、森繁久弥の言う「頼りにしてまっせ、おばはん」というセリフは全国区の流行語になったわけです。僕にもかすかな記憶があります。