双風舎トークイベント

 『仲正昌樹×北田暁大トークセッション』の案内がありましたね、タイミングよくぴぴさんからも北田暁大の『嗤う日本のナショナリズム』のレビューがアップされていました。ぴぴさんの不満は例えば、東浩紀は自ら「オタク」である内側からコミットする彼自身の実存的な選択があり、『動物化するポストモダン』を考察する、これしかないという身体的な選択と言うか、止むに止まれぬものがある。それは森岡正博の『無痛文明論』にしたところで、彼自身、無痛文明にどっぷりと浸かっている身体的な甘美と危機感がある。そこから、語っている。だから、体系として穴ぼこが方々に空き、危なかしいが、何か惹かれるものがある。北田さんの分析は鋭く、見事で爽快感さえあるが、読後にもやもやしたものが残る。
 ぴぴさんの言いたいのは東浩紀にしろ、森岡正博にしろ、好きなものを研究対象にしているが、北田さんは2ちゃんねるをちゃんとロムしていないんじゃあないか、好きなものを研究対象にしていないんではないかと言う疑念があるみたい。宮台真司にしろ援助交際に深くコミットして、言わば好きなものを研究対象にしたわけだし、学問に説得力を持たせるキーワードは“好きなこと”なんでしょう。

1971年生まれの北田さんは、<政治的悩める青年時代>、「僕って何?」と悩む69年世代のような青春の蹉跌を経験していないのだろうな、と思う。だからこそ、クールに切っていけるものをもっているし、徹頭徹尾、自己の立ち位置を不問に付したまま論が進むのもそれゆえだろう。

 僕は本書を読んでいないのでコメントを控えますが、ぴぴさんの疑念を胸に9.11までに読了したいと思います。
参照:http://blog.livedoor.jp/pipihime/archives/24789051.html
http://blog.livedoor.jp/pipihime/archives/27743926.html
「書評」について - 双風亭日乗はてな出張所

中之島逍遥

 braryさんのブログを読んでいたら、山田風太郎の『戦中派虫けら日記』のことを書いている。山田風太郎大橋図書館によく行ったらしい。ぼくはここの図書館のことはまるっきり知らないのですが,braryさんはよくご存知らしい。
 小田光雄の『図書館逍遥』(編書房)を見ると、目次に大橋図書館があります。この本も、『戦中派虫けら日記』も読んでいるのに、記憶がない、やっぱ有名な図書館でも、一度でもいいから足を運ばないと、記憶に残らないですね。奇人、変人、天才?が愛した図書館って面白いアクセスの仕方です。もっと、もっと、この国で、図書館文化、行政が地域に根付くといいですね。
 昨日は大阪中之島図書館の端末を操作していて、保坂和志の保板がリニュアールしたので、保坂さんのWEB草思の連載エッセイ『私が老人を尊敬する理由』に触発されて僕の『ジジィ話』をカキコしたら、risaさんという方がどこかの図書館の端末から即レスされたのには驚きました。図書館によって、端末を設置しているところが増えましたが、単に資料の検索だけで、閾の高いサーフィンは出来るけれど、掲示板、コメント欄のカキコが出来るところは少ないみたいですね。出来るようにしたら、又、色々な問題が出てくるだろうし、利用者のモラルに頼るしかないのでしょうが、今の段階ではカキコできるサービスまでする必要がないのが、落とし所でしょうね。勿論、個人的にはカキコできるサービスは大歓迎です。日が変わって今日、(って言っても、正確には7/31)risaさんから、堀江敏幸の『河岸忘日抄』の読書エントリーにコメントがありました。こういう出会いがあると、ネットの機動性にほとほと感心します。