野良人

保坂和志さんのBBSで“野良人”が話題になって、野良人?と、悩んだんですが、どうやら、ホームレスのことらしい。でも、実際のホームレスは色々と目一杯、働いているのが実情でしょう。今日も街場で、ビッグイシューを売っているホームレスに遭遇したが、彼らの取り分は200円で売って、110円が収入です。
 岡本かの子の『生々流転』(講談社文芸文庫)でヒロインは男達との煩わしさ、諸々を振り払って、都を捨て、野良人?(女乞食)になるのですが、そこも又、ひとつの社会で、ヒロインはもてすぎてしまう。振り払っても振り払っても社会性は付きまとってくる。結局、女海賊になって川から海へ出るのですが、こんな紹介では益々疑問符がつくでしょうね。岡本かの子の小説上の“乞食行”なのか、後年、仏教研究に入ったが、煩悩の多い人だったのでしょう。実生活上で“女野良人”にもなれず、寂聴のように出家も出来ず、ただ、岡本太郎を溺愛できた、かの子の“女の一生”は波乱万丈ですが、この小説も波乱万丈です。
かの子撩乱 (講談社文庫)生々流転 (講談社文芸文庫)岡本かの子 (ちくま日本文学全集)巴里祭・河明り (講談社文芸文庫)岡本家の人びと―一平・かの子・太郎 (別冊太陽―日本のこころ)迷宮の人生青春ピカソ (新潮文庫)黒い太陽と赤いカニ―岡本太郎の日本