檸檬が消える

◆病院の近くに「古本市場」があるので覗いたら百円コーナーにめぼしいものが一冊もなかったです。去年、ここで、イタロ・カルビーノの『なぜ古典を読むのか』(みすず)、『カルヴィーノの文学講義』(朝日新聞)を美本で手に入れたのです。新書では三砂ちづる『オニババ化する女たち』(光文社新書)、『生命観を問い直す』(ちくま新書)がありましたが、二冊とも持っているので残念でした。京阪百貨店にあるそこそこに大きな新刊本屋を覗いたら、多分、百坪ぐらいだと思うのですが、人文コーナーがない。一番広いコーナーはマンガでした。確か某大取次ぎの決算報告では全体の売り上げが前年度対比売り上げ減でマンガだけが微増との決算報告がありましたが、益々マンガが出版業界の経済基盤を支えている構図が見えてくる。新古書店に行っても相変わらず、マンガのコーナはお客様の立ち読みで一杯です。今では新刊書店ではマンガの立ち読みはビニールをしているので、出来ませんからね…。でも、マンガの売り上げも厳しいはず。マンガ雑誌が頭打ちですからね。
◆京都河原町丸善が九月頃、閉店になりそうです。梶井基次郎の『檸檬』に託した檸檬のフィギュア?を棚とかレジの近くにディスプレーしていましたが、少なくとも京都の名所旧跡の一つでもあったのですから、閉店は寂しいですね。どんどん、何か大切なものが壊れている。見えるものだけでなく、見えないものも、そんないや〜な感じですか、何か新しい予感がすればいいのに、ぼくのアンテナは錆びついているのか、嬉しいニュースが飛び込んでこないですね…。

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