前日の万引き問題に応答して、

 ウラゲツさんからの問題提議で、前日僕がシンクロした「万引きの屁理屈」を読んで思った色々をヨーロッパ在住のSさんからレスしてもらいました。

 葉っぱさんの記事「万引きの屁理屈」を読んで、いろんなことがひゅんひゅん脳みその中を駆け巡った・・・、でも、なにせひゅんひゅん駆け巡ったので、考えをちゃんと書き表すことができるか自信ないけど、やってみよう。
 ゴッホに関する記述が引用されていますね。
 わたしが今住んでいるところが、まさしくその時代のゴッホが暮していたところです。
 当時その炭鉱労働者の置かれた劣悪な条件が、ゴッホ抑鬱状態にさせ、一生それから解放されることはなかった、と、近所にある、一時期ゴッホが暮した家であるゴッホ博物館で説明を受けました。
 この博物館については、「ホームページ」の9月15日のところに、少し触れています。
 (あとで思ったのだけど、このとき写真で見たテオのひ孫って、もしかしたら先日殺されたオランダ人シネアストのゴッホと違うか?調べようと思って忘れていたわ。)
 葉っぱさんが紹介されているムーヴメント、パフォーマンス、マニフェステーションとしての万引きの記事ですが、このような発想はけっして新しいものではないです。
 しょっちゅうクマの話(葉っぱ注:Sさんの御主人)を出してごめんなさいですけど、先日盛り上がった世代論のときにも少し触れましたが、彼が若い頃、彼が従った68年の世代の人たちも、同じような発想で、同じような行動をしていたようです。
 「盗んでいる連中から盗んで何がわるい」という理屈です。
 たしかに屁理屈です。
 スパーマーケットに入り、そこで商品を広げて食事する、というようなことをしていたらしい。
 the edukators(日本タイトル「ベルリン僕らの革命」)というドイツ映画がありましたが、あれもよく似た発想ですよね。

 先日義母のおつかいで、カーテンを作るのにカーテン屋に行ったのですが、最近は縫製を無料でサービスしてくれるのです。で、注文していつ出来上がるのか訊ねると、3週間かかると言う。ひえーっ、そんなにかかるの・・・と驚いたところに受けた説明はもっと驚く内容・・・。
 無料縫製のサーヴィスのためには、縫い子さんの経費を節約しないといけない、で、そこらへんの海に浮かんでいる船に、上陸して労働する許可のない人たちを乗せ、その船の上で縫製させているので、そのような動きでどうしても日数がかかるというのです。
 ショックでしたよ・・・。
 その船には、子供たちも閉じ込められて仕事をさせられているのかもしれな・・・・。
 注文した私はどういう立ち位置にいるのだろう???
 現代の奴隷制ですよね。
 はたしてこの屁理屈やの万引き集団。本当に単なる万引きと言えるのか・・・とも思います。とても難しい問題です。
 いろんなシステムのひずみを背負っている人たちがいる、わたしはどうしたらいい??、とか思い悩みます。

 Sさんの、これは、とても重い応答です。
 僕が遭遇した万引き犯は生活に困って窃盗をしたのでなく、遊び感覚が大多数でした。書店員の頃、毎日、万引犯と面談ですからね、まあ、僕がいた店は玩具、文房具もありましたから、子ども達の集団万引きが多かったのです。勿論、大人もいました。問題は万引きに対する罪悪感のなさです。Sさんの例証と同じような検証の仕方をしてはいけないのかも知れませんが、この問題は今後、拡大して沸点までいくかもしれませんね、でもそれによって、監視社会が進行して二極化による住民たちが結局はゲットー社会を許容するかとなると、勘弁してもらいたいですね。
 Sさん、EUの憲法が中々ゴーサインが出ないのも、労働をみんなにワークシェアリングする困難さが横たわっているのでしょうか?