プロとアマ(雑誌・本・カタログ)

kuriyamakouji2005-09-09

 「風の旅人」で『プロの真剣勝負』のエントリーがアップされている。[風の旅人]は写真が命なので、印刷の職人芸が極限まで要求される。いい仕事をさせてもらえる至福は職人にとって何ものにも替え難いものだろう。
 印刷会社の営業を何十年とやった友人のYの話によると、そんな仕事の拘りを持って独立して街の印刷屋さんを始めてもPCで気軽に安価に簡単にプリントアウトできる時代状況では成功例より失敗例が多いらしい。時々悲惨なことも耳にする。
 でも、こんな便利なツールのお蔭で絶版、品切れになった本をリーズナブルに発刊出来ることも可能になった。保坂和志さんが音頭をとってやることになった小島信夫の『寓話』発刊はプロでないアマ集団で知恵を出し合い何とか小島さんの本をネット発信でなく印刷物に拘った思いの企画です。
 でも「風の旅人」のように写真が命でなく、あくまで小島信夫の文字が命で、その再生復活を願うささやかなプロジェクトなんです。9/4に第一回の製本製作会議が開かれ延々三時間の白熱の議論の結果、原稿用紙1200枚の『寓話』を十人で手分けして入力作業をして一人がPC上で本の体裁に整える。それからの製本は今のところ簡易製本みたいです。
 僕の意見は製本は結構なコストがかかる。本の体裁にこだわる人は自分で手作り製本をしてもよいし、信頼出来るプロにやってもらう。そのような余白を残す意味で、ちゃんとした製本でなく、むしろ、印刷、断裁、折の段階に留めておく方が購入し易いと、かやうなことを保板にもカキコしたのですが、完成は来年の春頃になるみたい。
 これからの二回、三回と鎌倉で「プロジェクトK」の会合が開かれるみたいですので、参加したいと言う方は大歓迎らしいですよ。こんなプロジェクトは前例のないことだと思う。絶対、成功して欲しいですね。
 こんなことを書いているとEさんが京都で毎年行う某展覧会で今年、事務方の印刷担当になり京都の印刷屋さんと連日、作品集の色校正をやったのですが、ニューカラー印刷では日本では優秀な美術印刷をするところらしい。御所の近くにあるんですって。印刷技術だけでなく、その接待ぶりにも感心して京都の印刷屋さんは違うとびっくりしていました。そんなメールが来ました。プロの印刷技術は物凄くスキルアップして、そんな高い領域で熾烈な競争をしているのが窺われました。
 プロはプロで、アマはアマでそれぞれに適ったやり方で後悔しないチャレンジをして欲しいですね。
参照:電子書籍が急速に普及する、か : Web読書手帖