本棚4

kuriyamakouji2006-02-28

 まっ白でタイトルが見えないのは北田暁大『広告都市・東京』です。北田さんの最初に読んだ本です。渋谷=パルコと僕の中でもつながって、堤清二率いる西武・セゾングループは80年代の徒花だったのか、パルコとリブロは一緒になって店名が2004年からリブロブックスになったのですが、今は取次Nの差配でしょう。映画館渋谷ロフトも取次Nが乗りだしNが映画館経営をやっている。今回の『ホテル・ルワンダ』の上映をいち早くやりましたね、中々頑張っているじゃあないかと思いつつも、本の取次が映画館とはびっくりしました。今日、図書館で借りた太陽レクチャー・ブック『本屋さんの仕事』を読んでいたら、司会者の質問に永江朗さんがこんなことを喋っている。

田口久美子さんの『書店風雲録』という本があって、書店員になる方はぜひ読むと面白いと思います。西武百貨店の書籍売場が75年にリブロになったんですが、リブロがどういう時代をくぐってきたかという話で、田口さんは今はジュンク堂池袋店の副店長をなさっていますが、彼女はかってリブロ池袋店の店長をなさっていて、彼女が見たリブロの黄金期の話を書いているんです。リブロっていうのは、日本の本の売り方を変えてきた革新的な本屋さんだったけれども、それを中枢で支えたベテラン書店員の方が、ここ数年の間にほとんどやめられてしまった。この間も、神保町を歩いていたら、リブロをやめた人にばったり会って、「どうしてるの?」って訊いたら、「いや、何も」って。要するに、ベテランで日本最高の書店員と言われた人たちが、ちょっと今、職がない状態にあるのは事実なんですね。さっき言ったこととまったく正反対なんだけど、知識、見識があっても、必ずしも食えるわけじゃないっていうのも、ここ数年の異常な事態としてありますが、ずっと続くとは思いません。ずっと続くんだったら日本の出版界はダメになるし、一時的に彼らは辛酸をなめてますけど、それぞれ知識、見識、経験を生かしていろんな仕事はしてるようですから、大丈夫だと思います。(p31)

 そういう業界事情もあるのでしょうか、イタロ・カルヴィーノの『なぜ古典を読むのか』(みすず)、『魔法の庭』(晶文社)、エーコの『ウンベルト・エコーの文体練習』(新潮社)はブックオフの百五円棚で買いました。今、人文の初版部数は3000部越えないでしょう。先日のトークイベントで野町和嘉さんが写真集『地球巡礼』のことを喋っていましたが、日本語版は二万部ですって、確か七ヵ国か八ヵ国か同時発売でしょう。でも、二万部の日本の部数が一番少ないんですって、宮崎駿がNHKでアニメ映画について、韓国や他の国に比べて一億三千万人の人がいるこれって物凄く大きな市場で投資も出来る。でも、文学や他のジャンルでは日本だけのマーケットでは難しいでしょうね。