「もうひとつの日本」第三の道
持続可能な福祉社会―「もうひとつの日本」の構想 (ちくま新書)
- 作者: 広井良典
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/07/01
- メディア: 新書
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憲法9条の問題にも届くし、中東紛争にも、北朝鮮、東アジア…、あらゆる紛争地帯に発信して強かに耐えうる柔軟さを保持している。でも、同じ宮沢りえが出演した『たそがれ清兵衛』にしても、必殺仕置き人の藤田まことにしても、平常は目立たない男、弱い男を演じながら、ここぞというとき、スーパーマンになってしまう。そりゃぁないだろう、メルヘンで落とし前をつける。そういう解決策なら、「オレには出来ヘン」と匙を投げながら、カルタシスを味わって、又は妄想空間で強い男になりおおせるのと変わらぬ。
だけど、最初から弱い侍でありつづける宗左の振る舞いは等身大の僕であり、あなたである鏡像を突きつける。それは、おそらく勝ち負けの土俵でない別のステージで生きようじゃあないかという「糞を餅に変える」変換なのではないか、ヒーロー/アンチヒーローの物語をこねくり回して第三の物語を作り出す営為であろう、
そんな第三の道は新刊、広井良典さんの『「もうひとつの日本」の構想』(ちくま新書)にも提示されているらしいですね。毎日新聞の書評欄(8/6)から評者中村達也さんからのネタなんですが、「15歳から30歳までを後期子ども時代」と位置づけ、具体的な日本のこれからを提案しているみたい、人生前半の社会保障を考えるということです。まあ、僕は人生後半の終わり少額年金受給者ですから全く縁がないのですが、月額四万円の「若者基礎年金」を構想するのです。財源は相続税の大幅な強化。退職年金の抜本的見直し。とはいっても老齢基礎年金は厚めに手当。夫婦で月額16万円程度を保険方式でなく税方式によってすべての人に保証する。ということです。まあ、現在この国の公的債務残高は7百数十兆円ですから、少子化、ゼロ成長でどのように対処するかでしょうね、ゼロステージで仲良く暮らすことの出来る第三の道は可能かどうか、それは個々人のどうしようもない欲望(生き様)を肯定したままの矛盾に満ちた不断の更新しかないでしょう。
一方で死刑廃止論者として運動しながら、実際、愛する人が殺された場合、個人として復讐を誓い、犯人を自分の手で殺してしまう。そういうことも受け入れる感性を大切にしたいと思う。
藩や国の都合の仇討ちでなく、個人の実存に関わる仇討ちなら、それも肯定出来る生き方だということです。