臓器移植

 毎日新聞記者の目 『病気腎移植の万波誠医師』は署名記事で、いわゆる世間の目とは違った切り口で報道してくれるので、多少なりとも蒙昧を切り開かれることがある。僕は原則、臓器移植には反対の立場ですが、でも、個々の具体例を見聞きすると、仕方がないよなぁと思ってしまうこともある。だからといって臓器移植をビジネスとして表舞台に出していいのかどうか、技術としてリスクが少なく命を救うことになるとだけでは解決出来ない生命倫理の問題は横たわっているのでしょうが、ただ、万波医師をスケープゴートだけにはしたくないという思いはありました。
 松山支局の津久井達氏はジャーナリストとしての批評の目を失わない記事を書いてくれましたね。生体腎、死体腎移植についで、病気腎移植を「第三の道」に筋をつけることで正当化しようとする政治的な動機付けではなく、これしかないんだ、という確信犯的な信念があったんだろうね。疑念や迷いがなかったと思うよ、患者の立場から言えば、頼りがいのある先生だったと思う。僕も何年も泌尿科の先生に診察を受けて、もう10人以上でしょう。こういう先生だったら、信頼してしまうだろうなぁ。当事者意識の強度の問題ですよ。患者から同じ土俵で戦ってくれているという強い波を感じることが出来るかどうかです。