お年玉が全部外れた、ダーウィンの悪夢か、

kuriyamakouji2007-01-15

 hamachanさんの『EU労働法政策雑記帳』から、第19回連合総研フォーラム講演「日本の格差問題・雇用問題にどう対処するのか」のテキストを興味深く読んだのですが、市場におけるグッド・ゲームを行うための三要素として、?能力?努力?運を、あげていますが、?、?についてはよく語られていますが、?についてはあまり語られないですね、でも僕は?を強調したい。?、?だけなら、弱肉強食、必勝劣敗の世界ですよ。運の入る余地がない、?、?で勝ちの確率をあげても最後のシメは?の運ですよ。
 故小島信夫保坂和志の対談を聴いていたら、小島さんは小説について漱石の言葉を引用しながら、「論文を読んでいたら、小説なんか書けない」、その通りだと思う。?、?で小説なんて書けやぁしない、そんなのあたりまえですが、でも、小説書き方入門書を読めば小説家になれると思っている人も少なからずいますからね、保坂さん自身も『書きあぐねている人のための小説入門』なんて書いていますが(笑)、でも、そんな人を裏切るようになるかもしれないが、結局、小説がポコって生まれるのは運だと言うことでしょう。?の運があるからこそ、敗者復活もあり得る。

とくに小泉構造改革ではこういう要素はまったくなかった。競争、グローバルな大競争を掲げるだけです。今、敗者復活が可能な社会ということが言われていますが、競争だけを掲げることからは、敗者復活という話は出てこないはずです。能力と努力と運の要素からなるグッド・ゲームをどのように作るのかという観点がなければ、敗者復活も言葉の上だけのことかもしれません。小泉さんはこういうことについての思想的な考えとか、配慮はまったくない人ですが、とってつけたように敗者復活を政権の公約に掲げたとしても同じことかもしれません。

 宮本光晴先生の言うとおりです。かって、偶々就職氷河期に運悪く就職出来なくても、今度は運良く就職出来るそんな労働市場がグッド・ゲームを生むのですよ。しかし、?の運度を上げると、お前はギャンブル社会を語るのかとなってしまうので、寸止めにしますが、こちらの先生のテキストは色々と示唆に富む具体案がありました。
 昼間、梅田ガーデンシネマで、『ダーウィンの悪夢』を見たのですが、予想通りの映画でしたね、別段驚くべき新情報ではなかった。何か、「やっぱし」という既視感です。<悪夢のグローバリゼーション>がここまで進行しているだというのを再確認したわけです。どこかの国の子ども達に銃をプレゼントして、そのお返しにどこかの先進国の子ども達に葡萄をプレゼントする。そんな悪夢が語られているわけです。
 ?と?でフリーズしないで、?の濃度を上げて、もし、運が悪ければ、逆に先進国の子ども達に銃がプレゼントされ、アフリカの子ども達に葡萄がプレゼントされる、そういう事態もあり得るんだということ、そうでないと、対岸の火事として消費してしまうんだろうね、敗者復活って、そのような深い哲学がありますよね。
 運は人びとに希望を与えます。初詣でお神籤を引いたら大吉だったのですが、今さっき、年賀お年玉の番号を調べたら全部外れていました。こんなの記憶にないですね、最低でも下二桁で引っかかるのがあったのですが、今年は一枚もない、ホント、運が悪い!
 でも、運が悪いから希望が生まれるのです。次は悪夢ではないだろうと思ってしまうのです。そのような意味で世界は流動しなければいけないなぁと思う。
 不安が夢を育むのです。弱肉強食、必勝必負の世界を拒否するなら、「不安」を度胸よくチョイスする必要があると思う。ローリスク、ハイリターンなんてあり得ないのに、「不安なく」、必勝必負で世渡りをしようとする。そういう人達こそ正真正銘の「加害者」でしょうね。もし、そういうことが成り立ちうるなら、八百長の世界ですよ。
 僕はそれより、グッドゲームが稼働するなら、ギャンブル社会でもいいと思う。