12歩目の助走、本屋さん、

希望の書店論地域の再生は矢祭町に学べ! 過疎の町にあった活性化ノウハウ狼少年のパラドクス―ウチダ式教育再生論
 常連さんからメールが来て、『34歩の助走』はどうなったか?っていうお叱りを受けたので、蹈鞴踏んでいたけれど、又、12歩から再開します。
 『街的本屋さん』ですね、先ほどジュンク堂池袋店の副店長だった福嶋聡さんが、この春、ジュンク堂大阪本店の店長として移動になりますが、書店論の新刊『希望の書店論』が発刊されている。
 僕はまだ読んでいないのですが、chakichakiさんからのコメント記事で、アマゾンの販促で一躍有名キーワードになった『ロングテール』は、確かに福嶋さんの言うようにジュンク堂の創業以来のコンセプトで、原則、平台、平積み、メンチンはしないで、出来るだけ棚を高くして、棚差しを原則とする多品種少量の棚陳列を限界のギリギリまで追求して、池袋店のような巨大店舗になったのでしょう。 ネットならば、そんなに困難ではないことをリアル書店でやってのけたことが、ジュンクの他店にみない凄いところだと思う。
 昨日、ジュンクに寄ったので予約している『早稲田文学 0号』の入荷状況を尋ねたら、4月25日予定だと言う。千部限定なので各書店に情報がゆきわたっていないとは思いますが、事実、別の本屋で、この限定復刻版0御号の雑誌を問い合わせたのに、中々話が通じなかったです。
 ジュンクならすんなりと通じたわけです。だからと言って書店員が本の知識がないと言おうとしているわけではないのです。
 これもchakichakiさんが、書店員検定のエントリーをアップしていましたが、僕は失格でしたね、特にライトノベル系統の作家名はまるきりわからなかった。どうも、知識のありようが違うみたい。昔、某取次ぎの日本一、二といわれる巨大流通倉庫でアルバイトをしたことがありますが、アルバイトの特典として本屋さん卸正味で本が購入出来るわけです。それで、結構、本を買ったのですが、欲しい本は殆ど、非在庫(流通倉庫になくて版元在庫)だったですね。
 書店員検定にはそのような非在庫にまつわる問題は出ない(笑)。でも、書店員していて、結構、トラブルのはこの非在庫商品でしょう。非在庫どころか、版元になくても本屋さんにあるといった事態があったわけです。
 それが今ではアマゾンでユーズド商品ということで、前日エントリーした佐藤泰志の『海炭市叙景』で手に入れることが出来ますが、あまりにも高価ですね、僕は図書館で読んだのですが、図書館にはあるわけですよ。 でも、このように岡崎武志さんの『読書の腕前』で話題になり取り上げられても、図書館で貸し出しが殺到したということはないみたい。これからどうなるかわかりませんが、保坂和志さんを中心にして小島信夫『寓話』が四千円で復刻されましたが、こういうプロジェクトがもっと拡がればいいですね。
 問題は著作権、版権でしょう。『海炭市叙景』は集英社ですね、他の著書は新潮社、河出書房新社で、文庫化する版元に版権を譲り渡して文庫化を実現する、そういうことは難しいのでしょうか。
 僕は別に書痴マニアでもないのですが、結果として、精々、3000部しか売れない本が「面白さに当たる」という確率が高い、それだけの話しです。だから版元のビジネスモデルとして、3000部でペイできるものがあれば、それで充分ではないかと思うのです。
 先日、小林秀雄の講演をCDで聴いていて『本居宣長』が雑誌連載時にはまるっきり反応がなかったのですが、単行本になった途端、方々で取り上げられ、8万五千部も売れたと言う、先日も行きつけのウナギ屋の女将さんが、「先生、『本居宣長』を買ったのでサインしてって言われた」と言う。そりゃあ、嬉しいですよ、別の読まなくてもいい、印税がちゃんと入りますからね、と先生は語っているわけです。ツン読、大歓迎ということでしょう。でも、そのようなツン読モッタイナイ消費行動として歓迎されなくなっているのでしょうか。
 本の価値はわかりにくいですね、先日、ジャーナリストコース卒の惑星推進力さんが、ブックオフで本を始めて売った体験記をアップしていますが、僕も東京在住の頃、50冊ぐらい持ち込んで買い取ってもらったら、確か75円でしたね、数円単位の値付けですかね、そのうち半分(むしろ、僕にはこちらの方が商品価値が高いと思ったのです)は値がつけられない、どうしますか?って訊かれるから、こちらから頭を下げてお願いしますとなる。
 一度、普通の古本屋さんで懲りたことがあるのです。文庫だけを100冊持って行ったのですが、買いつけどころか、引き取りも断わられ、泣く泣く、重いのに持って帰ったことがあるのです。僕としては店の前にワゴンを置いているから、そのまんま、並べて数十円から百円で売ればいいと思うのですが、実際、ワゴンの本よりは僕が持参した文庫の方が売れると思ったのですが、ゴミ扱いされたわけです。タダでもいいからと頭を下げたのですがダメでした。古本を売りに行ってあまりいい思い出はないですね。670円ならランチ代が出ます。75円なら缶珈琲も買えない。
 で、僕は図書館や、駅構内リサイクル棚に持っていったり、色々と処分方法を考えました。で、leleleさんがエントリーしているような善行?を促すような買取団体が出現するのでしょうが、個人なら提供する人がいると思う。問題は発送料でしょう。リサイクル本を中心にした勿体ない図書館が出来ましたよね。でも、ここは発送料はこちら込みでしょう。まあ、それが原則でしょう。相手方が配達料を引き受けるには相当な財源が必要でしょう。
 参照:http://d.hatena.ne.jp/anhedonia/20070325/p3
 ◆毎年恒例の「不忍ブックストリート一箱古本市」は、「200704102007年4月29日(日・祝)」に開催ですね、「書店員ナイトin東京」も開かれる。東京だけは元気だなぁという感じがしないわけでもない。いやあ、そうでもないか、「大阪のカロさん」が、主催ですからね、4月28日です。レンチャンですか、楽しんで下さい。
 夕食の食材の買い物をしていたら、内田樹の新刊があったので、ほんのちょっと、立ち読みしてしまった。