現代の貧困

オンライン書店ビーケーワン:ホームレス 現代社会 福祉国家現代の貧困―ワーキングプア/ホームレス/生活保護 (ちくま新書)オンライン書店ビーケーワン:貧困と社会的排除
 まっちゃんさんの『現代の貧困』を読むと、成る程、「格差」(記述的言語)と「貧困」(価値的言語)は違うんだという明晰さは必要ですね。往々にしてごちゃ混ぜにして使っている。
 確かに「格差は悪いことではない」とは、あまり抵抗なく受け入れられるかもしれないが、「貧困は悪いことではない」とは、さすがに言えない。「格差」は統計としても明解に記述出来るけれど、「貧困」は記述しようと思えば戸惑います。まず価値判断として憲法25条を拠り所にした生活保護法による受給金額が一つの基準線として具体的に「ワーキング・プア」という言葉が生まれたし、住むところがない国内難民を「ホームレス」としてカウントしたわけでしょう。
 だからこそ、「ワーキングプア問題」、「ホームレス」、「ネットカフェ難民」は何とか「貧困問題」として個別具体的に検証出来る。武田徹オンライン日記『難民を支えるひとたち 』は、マック難民を支える、「客ではなく、朝5時ごろに登場する清掃と搬入のスタッフ」の人達のことを書いていますが、確かに「都市の匿名的な空間においても個体識別ができて初めて継続的な状況観察は可能になる。」のだし、見える「格差」で「貧困」を見えないものにして政策論争から遠ざける愚を少なくとも政治家は行うべきではないでしょうね。「格差問題」と言うべきではなく「貧困問題」と言うべきなんだろうね。
 極端に言えば、「格差に問題はない、問題は貧困なんだ」って。