マンガ批評・漫画学

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 「ゲンダイモンダイ」さんが、前回に続き『日本の漫画論 後編』を音声アップしています。
 日本の漫画・アニメが輸出産業の重要なアイテムになっているとのアナウンスは麻生太郎の例をあげるまでもなく、ゲーム業界も含めてバブル崩壊以降の失われた10年においても、世の中不況を尻目に「漫画・アニメ・ゲーム」が海外で受け入れられもし、とうとう、その一つの決着として京都で国際マンガミュージアムが立ち上がったし、京都精華大学では、「マンガプロデュース学」なんて言うのも始まった。 でも、漫画そのものの売り上げが好調かと言えば、実際は新中古書店モンダイ、TSUTAYAの店の一部が漫画のレンタルを初めてみたり、海外の海賊版のモンダイなど、様々な要因が重なって、出版業界を支えていた特にマンガ雑誌の売り上げ部数が極端に減っている。だけど単行本は何とか持ちこたえて、雑誌の売り上げ減の穴埋めをしているのが現状でしょう。去年のテクストですが、確かに携帯と漫画雑誌は利用場所が似ているし、携帯ビジネスとも無縁ではないから、コンテンツとしての漫画・アニメの需要は国境を越えて伸びていることは間違いないと思う。
 一年半前に書いた僕のエントリー記事から一部引用します。

昨日の毎日新聞夕刊(’06年6月23日)で『マンガ市場 止まらない落ち込み』熊田正史氏の記事がありました。熊田さんは元週刊ヤングサンデーの編集長で、現在京都精華大学でマンガプロデュース学を講義する先生ですが、こういうキャリアを見るとマンガはもはやサブカルではなくてメインカルチャアなんだと、そのあたりの認識を精査しないで、熊田さんが言う「真の批評 不在の悲劇」と言っても、ぴんと来ませんね、昨年のマンガ単行本の売り上げは2602億円、マンガ雑誌の売り上げは2421億円で、昨年にはマンガ雑誌の総発売金額がはじめてマンガ単行本の発売金額を下回ってしまったということです。その差は200億円ですがその意味するものが大きいと警鐘を鳴らし、その最大の原因が「マンガ批評の不在」だと言うのです。
 そしてこの危機を乗り越えるために黒衣を脱ぎ捨てて編集者から真のマンガ批評家が生まれることを期待すると書いているわけです。熊田さんの見取りは、もし、雑誌の落ち込みがこのまま続くなら恐らく4,5年で日本のマンガ市場は崩壊するだろうということです。しかし、アニメ!アニメ!ニュース(http://animeanime.jp/news/archives/2005/12/2005106101231.html)によれば、アメリカで日本のマンガが売り上げを伸ばしているのですが、日本円にして200億円で、ヨーロッパ、アジアを含めた日本マンガの売上高、ブックオフを含めた新中古書店でのマンガの売り上げのデータを合算したマンガ売り上げは間違いなくマンガ雑誌の売り上げを大幅に越えているでしょう。
 問題はマンガ雑誌の落ち込みなのです。かって200万部も売っていたビッグコミックはたったの20万部で、週刊モーニングは30万部、まあ、それでも数十万部という数字は凄いと思いますが、数百万部の異常を体験した目から見れば、現在のマンガ市場が異常なんでしょう。その売り上げの低迷を生んだ一端が無知で愚かな批評だと言うのです。>>続くhttp://d.hatena.ne.jp/kuriyamakouji/20060624/p2

 ゲンダイモンダイの西嶋さんは、何とか単なる印象批評ではない「漫画学」を立ち上げたいみたいなことを言っていましたが、それ以前に「マンガ批評」がもっと盛んに行われる土壌・市場が必要なのかもしれない。批評で鍛え上げられれば、自然と「漫画学」のようなものもカタチとなっていくと思います。放送中、西嶋さんに、このブログを紹介してもらったのは、嬉しい限りです。ありがとうございました。