ホルモン療法/「メタボ戦略万歳」

ガンが逃げ出す生き方 人は勝手に125歳まで生きる

ガンが逃げ出す生き方 人は勝手に125歳まで生きる

 毎日新聞の朝刊で、『前立腺癌』の特集記事があったので、読んでみる。殆ど知っていることばかりで、新情報はないけれど、まあ、僕はもうじき10年の余命を獲ち取ったのだから、最適な治療だったのでしょう。1998年にバイオプシー(生検)したおり、陽性反応があり、放射線治療を選択して、リンパ節の廓清手術を行った結果、【N+=所属リンパ節転移あり】が発見できたわけです。
 放射線治療を終えて、皮下注射による「リュープリン3.75」(武田薬品)を毎月投与されていたわけですが、薬価の負担も大きく、三ヶ月に一回の注射でいい、濃縮された『ゾラデックスLA10.8mgデポ』(輸入販売元アストラゼネカ)に切り換えました。前立腺癌の場合の指標はPSA(前立腺特異坑原)の数値で、上限値が「4」です。五年以上、注射の効果があって、PSAの数値が「0.…」で、問題がなかったのですが、数年前から「1」を越え始めた。皮下注射が効かなくなったのですね。癌細胞には性ホルモンに依存しない色気wと無縁な細胞が一定以上存在するのです。そのような癌細胞が増えたということも考えられます。

酒井准教授は「血液中のホルモンは全身でがんの『燃料』として作用するうえ、転移したがんも前立腺がんの特徴を持っているため効果が期待できる。ただ、この治療法のみで完治することは期待できない」と話す。

 紙面でかように書いていますが、ホルモンって元気印ですからね、癌細胞であれ、正常細胞であれ、細胞の性質には殆ど変わりない。悪い奴をやっつければ、正しい奴も誤って殺してしまう確率が高くなる。免疫力が下がるわけですよ。それが副作用の問題。
 先日、図書館の新刊棚にあった安保徹・石原結實の『ガンが逃げ出す生き方 』をめくっていたら、「痩せることは最大のクスリだよ」みたいなことを書いていた。体重が増えれば、ホルモンに依存しない細胞も増えているような感じがしていましたからね。僕は今、10kgも増えすぎで、循環器の治療にも通うはめになっているのです。「メタボ」って医療問題から社会問題までにもなっていますね。高血圧の降下剤、コレステロールのクスリは飲みつづけて医療費は膨大になってしまう。
 そんな病院生活を送りながら、市の方から連絡してくれる「医療費の月報」を見て、改めてその金額の大きさに驚きました。1998年に発病して以来、10年のおつきあいですが、どんなに少なく見積っても総額3000万円、自己負担は三割だから、900万円ですか、毎年90万円、僕の例示はそんなに特殊ではないと思う。高齢者の医療費は厳しいものがある。大体、高齢者の十人に一人は日常的に病院通いしているのではないか、年齢別人口を統計局の最新データで見ると、65歳以上人口(老年人口)は25,672,005人(同20.1%)となっている。高齢者医療費は益々大きくなっている。一方で11月24日の毎日新聞「自治体病院:累積赤字1兆8585億円 財政圧迫」という記事を掲載していましたが、特に歯医者さんは、過当競争が激しくて大変らしいですね。「ワーキングプアの歯医者さんもいるらしい」。
 他方、小児科、産婦人科、外科などの医師は足りないのでしょうね。僕が住んでいる街は、病院ストリートと言ってもいいぐらいに総合病院から専門医院、犬猫病院まで、歯科、眼科、皮膚科、泌尿器科と目白押しで、歯科の専門大学まであり、自宅から数分のところに医大付属病院があるのですが、それでも、去年、開院になった大学付属の総合病院に電車に乗って通っている。そこは殆ど、IT化されており、患者専用の端末を首からぶら下げて病院内をウロウロして順番がくるまで待機しているわけです。病院内に市の図書館の分館があるから、退屈はしない。ドトールの珈琲館も店を出している。患者さんたちの交通整理は人材派遣会社のコンパニオン?っていうか、病院側のスタッフではなく、白衣ではない、いかにもコンパニオンらしい制服に身を固めた女性の方たちが甲斐甲斐しく誘導している。展望レストランもあるし、時々、ロビーでミニコンサートもあるし、快適で退屈はしない。順番が迫って中待合室で待ってくださいの表示は端末でやってくれるから、普通は図書室で本を読んでいるのです。
 そんな病院通いですが、とうとう、皮下注射が効かなくなったわけ。治療方針を再検討して、補助薬として【カソデックス錠80mg】の服用を数年前から始めたわけです。「1」越えていたPSAの数値が又、下がり始めました。それで、安心したのか、又、体重の方は増え始めましたねw。でも、今年になって、この「ゾラデックス」を助ける「カソデックス」が効かなくなったのです。又、「1」を越えて、担当医も当惑してしまった。そこで、思い切って「クスリの服用をやめておこう」ってことになり、やめて、経過を観察したのです。
 しかし、やめたからと言って、下がりはしなかった。又上がり始めて、危険水域が迫ってきた。次の一手も見えない。そこで、45日前に、効くか効かないかわからない、多分、効かないだろう「カソデックス」を又服用したのです(それしかやることがないですからね…)。
 そして、昨日、結果を見たら予想に反して「0.472]という数値で、前回の「1.220」の数値が下がっている。又、又、…、延命出来ることになりました。久しぶりにハレの気分になりました。単純ですねw。
 まあ、ホルモン注射も確固たるものではなく、単なる現段階での最適な選択肢の一つに過ぎないわけで、僕が出来ることは体重を減らして免疫力をアップさせることしかないですね。そのことは医療費の削減にもなるし、食費も減らせるし、「メタボ戦略万歳」ですか、しかし、岡田斗司夫の『いつまでもデブと思うなよ 』を読んで実践するなんて全く自信がない。
 担当医に僕ができることは「痩せること」、そう言ったら笑われました。宣言は出来るけど、実行は自信がない。岡田さんはたいした男です。
  参照:http://cancerinfo.tri-kobe.org/