相続時精算課税制度とは

 この制度は03年に創設されて、一応、住宅取得資金に関しては特例として適用期限は07年の12月末までだったが、国会の審議を経て09年12月末まで延長される見通しらしい。(日本経済新聞08年1月26日記事)
 僕はこの制度は知らなかった。どうやら、マンション購入だとか、独立開業をしたりするときに親から資金援助をしたいと考える人が多いでしょう。従来の税法では親に限らず、個人からお金や不動産などの財産を受け取ると(贈与)、贈与税がかかる。毎年1月1日から12月31日までに受け取った贈与財産の合計が課税対象となり、これを(1)暦年課税という。受け取った財産の合計が基礎控除の範囲内(年間110万円以内)なら贈与税はかからないが、越えたら翌年に申告して納税する。
 この贈与税のことはよく知っていましたが、(2)精算課税って知りませんでした。この制度を利用すれば、一人の親からの贈与額が合計で二千五百万円に達するまで非課税になる。利用できるのは二十歳以上の子どもが65歳以上の親から生前贈与を受ける場合。二千五百万円を超えたら、越えた金額に一律20%の贈与税が課せられる。
 そして、住宅取得資金の贈与であれば、親の年齢に対する制限もなく、非課税枠も一千万円上乗せされて三千五百万円までとなる特例が冒頭に書いたようにあるわけです。
 詳細は国税庁のHP(http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4103.htm)を見てもらうことにして、この制度を知らないお年寄りが結構多いと思う。
 ただ、この制度を利用する場合は、贈与を受けた翌年に住宅地を管轄する税務署に届け出が必要。いったん選択すると、以降の同じ親からの贈与はすべてこの制度に加算され、百十万円の基礎控除が使える暦年課税の戻れない。その後の贈与が税金のかからない範囲内であっても、贈与を受けるたびに申告が必要になる。
 精算課税なら贈与を受けた時点では贈与税がかからない。相続時に贈与された分を相続財産に加えて精算するが、相続税には五千万円に法定相続人一人につき一千万円を加えた基礎控除があるわけです。居住用の宅地を相続する場合など、相続税には各種の軽減措置もあるため、実際には相続税のかかる人はそんなに多くない。ならば、相続税の心配がなければ、早めに親から資金を受け取って子どもが活用したい場合に選択肢として検討する価値は大きいと思う。
 例えば、将来値上がりしそうな不動産や株式を受け取ることが相続時に親の財産の軽減につながる可能性もある。相続税の精算では、贈与時点の評価額で遺産総額に加えるからです。成る程……、
 ちょいと面倒ですが、知っておくといいと思い、日本経済新聞の記事からネタ拝借しました。