パンあって本

 『大阪府給与 一般職16〜4%削減、組合に提示 退職金も5%カット』(読売新聞)を始め各紙で報道されているみたいですが、ネットではアップされていないけれど、日経新聞の朝刊では、給与カットのモデルケースの一覧表が掲載されている。例えば一般職の課長級(50歳)では、カット前が461,O40円がカット後では405,716円で、月マイナス6万円弱ですか、カット率12%。成る程、大幅削減ですね。橋下知事は「職員自ら相当の覚悟を持って案を出してくれた。うれしい限り」、「以前から広く薄く削減してこなかったから、大幅削減になった。未来に引き継ぐためにこれくらいの負担はしないといけない」、「一律カットは早くやめたい」と話し、給与連動型の人事評価制度を導入する考えを改めて表明したと、日経の記事にはある。
 ちょうど、朝生に出演した 渡邉正裕の『激論!新しい貧困とニッポン!』氷河期世代を救い、労働市場を正常化する政策提言の記事を読んだのですが、確かに「正社員の既得権を改革せずして若年層の貧困問題の解決はありえない」のは正論でしょう。
 でも、正論だからと言って支持するかどうかは別の問題です。

「株主への配当も怠れない、総人件費は上げられないとなると、人件費の社内での配分を変えるしかない、という結論になる。では企業内の、どこに経済合理性のない人件費が残っているのかというと、それは貰いすぎ中高年の給料だ。 」

異論の出しようがない。

「現在、大企業の正社員は、バブル期より前に入ったか、後に入ったかで、2つの階層に分けられる。バブル以前に入社した40代50代は、年功序列世代で、仕事の成果と関係なく、年齢とともに給与があがり、課長待遇以上を得ている人が多い。」

わかりますとしか言いようがない。

「だがバブル崩壊後、ネズミ講が破たんした後に入社した現在30代以下の社員は、必然的に成果主義にルールが変わったため、成果をあげた者だけが昇進昇格するルールのもと、課長以上になれない人のほうが多いのも当たり前になった。今の20代30代の正社員は、成果主義のなかで勝ち抜くために、自分のことで精一杯だ。だから、なんとかハック、レバレッジなんとか、といったノウハウ本が売れている。雨宮処凛て誰?という世界で、貧困問題など考える暇もない。」

実際、僕の知り合いのネット友でない若者たちに訊くと、雨宮さん、赤木さんって名前を知らない。

「長期的には、やはり人件費というものは、他の設備や土地などのコストと同一視してはならないものであって、それらを全て同一線上に置いて考える資本家中心のアメリカスタンダードは、改められるべきである。ただ、これは国際問題なので、世界規模で考えないと解決しない。」

 株主最優先のOSを変えなければ、グローバルという土俵で南北問題の国内化はどんどん進行してゆくでしょう。

「たとえばドイツとオーストリアは、法律で従業員代表を取締役会に入れるよう義務付けているという。そうすれば、従業員を無視して株主の短期的利益のみに沿った意思決定を防げるはずで、これは1つの方策だろう。」

 まあ、この処方箋は傾聴に値しますねぇ。
 大阪府も従業員という府民全体の福利厚生に邁進するための改革であって、それ以外にないと言う姿勢を貫ければ、ぶれなければ知事が誰であろうと支持しますよ。その基盤(生活)の上に文化の問題を考えたいと思う。
 マイミクさんが、イギリスで総選挙が始まっているようだけど、労働党の人気はさらにがた落ち。 その理由が「なんでも値上がりするばかり」だから。 ベルルスコーニが勝利したイタリアでは、不法移民を捕まえては刑務所に入れてますよ。 強制送還するって。これはEUの基本方針に反しているし、これから大騒ぎでしょう。 と書いているのですが、

医療システム、教育、文化は守り、でも自分の生活も少しは変えないといけないんじゃないの?
今までのシステムじゃどうにもならなくなってきている、どうしてそれがわからないんだろう? いったい何が欲しいんだろう?

 確かにそうだ、そんな軸があっての府知事の改革であって欲しいのです。再分配が適正に行われないと、明日のパンが心配なのに、本を食えと言っても食えないもんねぇ。勿論、この言葉は、僕にとっても痛い!
 でも、小説を書いている知人で極貧状況でないと、書けない!と信じているヤツがいるが、「パンより狂気」なんだよねぇ。そんな人もいる。「食えない状況でないと、いいものは書けない」と言うわけです。僕はそうじゃないと彼を説得出来る言葉を持ち合わせていない。