吉本隆明/声と言葉

吉本隆明の声と言葉。〜その講演を立ち聞きする74分〜 (Hobonichi books)

吉本隆明の声と言葉。〜その講演を立ち聞きする74分〜 (Hobonichi books)

糸井重里が選んだ吉本隆明のCD&BOOKは、糸井さんが、『吉本隆明の五十度の講演』の音源から美味しいところを抜き書きコラージュした立ち聞きする74分の構成ですが、SDやUSBに落としてウォーキングのお供にするのに最適だと思いました。時間も短くもなく長くもなくちょうど一万歩ぐらいです。講演と言っても、前もって原稿を起こして喋ったもので、なかなか歯ごたえがありすぎて咀嚼が難しいところがあるが、吉本さんの訥々とした喋り、熱気を帯びた伝えたいという思い、その声質がこちらに身体として共振してきて何となくわかったような気にもなります。
巻末に付録として、袋とじになっているので、情報の公開ができないが、講演をフルバージョンで聞いてみたい方に特典として、講演音源170本の中から【1】太宰治(1994年・197分)、【2】日本経済を考える(1988年123分)の2本を無料ダウンロードできます。
天満橋ジュンク堂店で、友人と待ち合わせして本を買う積もりはなかったのですが、思わず衝動買いをしてしまったが、大当たりのコンテンツでした。さすが、糸井さんの編集構成だと思いました。
漱石から入り、鴎外、太宰治中原中也宮沢賢治高村光太郎小林秀雄ドストエフスキー与謝野晶子源氏物語源実朝、三木成夫、シモーヌ・ヴェーユ、スミス、リカードマルクス、都市論としての福岡、日本経済を考える、農村の終焉、そして、親鸞の声で締めるのかと思いきや、さすが糸井さんで、そうはしない。13秒の音源が入る。

 冒頭にあいさつを入れましたので、最後はさようならというあいさつを入れました。ちょっとお茶目にね。
 持ち時間がないもんですからって、吉本さんは、いつも言ってるような気がします。講演でも短くすませることができなかったみたいですね。思うこと、しゃべりたいことが多すぎるくらいあるみたいです。いつも吉本さんとお喋りしているときも、「そろそろ時間ですね」と、締めるのは僕の役になっています。というわけで、この「立ち聞き」のお終いも、僕が勝手に決めさせていただきました。(p73)