エル・ライブラリー・存続!労使で支えて、

 11月1日の朝日新聞大阪版「文化」に阿久沢悦子の署名で、エルライブラリー(大阪産業労働資料館)が10月21日に完全民営化の装いで再出発した記事『単眼・複眼 労働図書館完全民営化/存続労使で支えて』が掲載されていました。ネットにアップされていないし、東の方では載せられていないので、僕なりに私見を述べながら、まとめて書いてみます。原典は新聞に当たって下さい。
 今年の7月に橋下改革により、実績を上げていながら、多分、政治的判断なんでしょう。寝耳に水でハシゴを外されたわけです。
 何の合理的な説明もなく、橋下改革の総論はともかく、各論の理不尽さを一部の府民は訴えてきたわけです。
 当事者たるスタッフ達は半ば手弁当で怒りをエネルギーに「公とは何か」と資料の散逸を防ぐために完全民営化で図書館の存続を図って来たわけです。
 年会費5千円で一般会員を募集しながら、司書2人、無償ボランティアで、何とか、「兵糧攻め」に屈しないで 「持続は力」と頑張っているわけ。
 館長によると、会員を千人集めないと、維持できないということです。
 専門図書館の協議会の名越正信事務局長によると「社会・労働問題の研究には、年次を追って生資料を繰る環境が必要。ウェブ上では単年度ごとに情報が上書きされ、変化を見落としてしまうおそれがある」と指摘している。
 民営図書館の先行事例としては「アジア図書館」がありますが、こちらもボランティアを活用しながら、イベントや講座を開いて運営費を工面している。
 しかし、見習いたいが、労働問題のイベントはなかなかお金にならないと館長は悩んでいるわけです。カンパ、年会費だけでは限界があると思う。館長によると、今後は積極的に企業や労組を回って、就業規則や組合報などの資料提供を呼びかけるほか、組合史の編纂や労働講座などを請け負うことも考えているとのことです。
 先ほど、テレビを見ていると、新卒の内定取り消しが増えているのですねぇ、雇用調整による内定取り消しが違法であるかどうか、かって、某印刷会社を相手どって、内定取り消しされた学生が訴えた事例があり最高裁の判断もあるのです。それによると学生の方が勝訴したわけですが、ただ、内定通知の内容がどの程度学生を拘束するものか、個別具体的に判断がなされるのでしょう。
 そのためにも、内定通知に関する資料を大事に保管すべきでしょう。
 僕は新卒の時は年が明けた正月過ぎに内定の決まっていた会社が倒産しましたけれど、倒産なら仕方がない。そうじゃあないんだから、諦めないで訴えるべきでしょう。ちゃんと有利な最高裁判例がありますよ。
 かような事例を調べるためにも「労働図書館」って便利がいいのです。「内定取り消しにまつわる雇用調整の資料」を調べたいとスタッフの司書に尋ねれば懇切丁寧に資料を探してくれます。
 そんな仕事もしているわけです。だから、研究者だけの図書館でもなく、働く人々がどうして、かような「ワーキングプア」の状況になるのか、ちゃんと会社は労働基準法を守っているのか、そんな労働に関する疑念があれば、お助けマンの資料館として気楽に立ち寄れる場所としてもあるわけです。
 しかし、橋下知事は一般会員になっているのでしょうか?