浜矩子/雇用大受難から

kuriyamakouji2009-08-03

「自分さえよければ病」/そして誰もいなくなった の続きを書きます。
グローバル時代の三大主役(A)人、(B)物、(C)金について少し詳細なメモを書きます。
今は第二幕の後半で第三幕の「雇用大受難」の状況に突入し、今までは外国人労働者、非正規雇用者など、切りやすいところを切ってきたわけです。ILOの予測では、2009年の世界の失業者数が最悪の場合、2億3,000万人と初めて2億人の大台を突破する可能性があると予測した年次報告をまとめていますね。失業者数は08年の実績見込みから一気に最大4,000万人も増える計算で、今年の失業率は7.1%と比較可能な1991年以降で最悪になるわけです。正社員にも手をつけなくてはならない事態なのです。
かような状況認識から「怖い事態が起こる可能性」を浜さんは語るわけです。(ここで、浜さんは咳き込んでペットボトルから水を飲んだんだが、沈黙の一服で、人間って「45秒の沈黙」に耐えられないところがあるのねぇと、お化け屋敷のモードw)
水木しげるも唖然の「もっとも怖い亡霊」が徘徊し始める。「自分さえ生き延びれば良い」というお化けで、銀行は貸し渋り貸し剥がし、メーカーは下請け切り、ハケン切りなど、個別、具体的に合理的な選択をする。そのようなやむにやまれぬミクロの経済行動を「臆病者!」と弾劾しても詮方ない。耐える自己防衛しか方策がないと思っているのです。だけど、このような風邪は感染力が強い。
浜さんは、三つの怖いこととして、
(1)自分さえよければ病。
(2)統制経済
(3)元の黙阿弥をあげる。
個別的に合理的な選択が一般的に見れば、「金」がまわらない世界を到来させる。「一人にとっていいことがみんなにとって怖ろしいことになる」
これが、【合成の誤謬】っていう化け物なのです。
そして、インフルエンザより怖い「自分さえよければ病」が猛威を振るい出す。そうなれば、<愛国尽くし>の天こ盛りで、バイ・アメリカン政策やスペインのサパテロが国産品を買うように言ってみたり、ギリシャも露骨にやっている。【愛国消費】・【愛国金融】・【愛国雇用】をすべての国が行えば【合成の誤謬】が起こるというわけです。排除と囲い込みが進行し、鎖国からブロック経済へと理屈でナットク出来る。
だって、GMでは、60%も政府が出資し、AIGでは、連邦政府が80%の大株主。イギリスではもっとスゴイ。21世紀型の統制経済ですよ。
【まさかは必ず起こる】
アメリカイズムの下で統制経済の影を見る。独裁政治が待っている。そんな懸念が冗談ではないわけですよ。ゴールドマン・サックス純利益34億ドル 4〜6月期の決算報道がありましたが、財政大盤振る舞い、拡大路線は怖い!「高すぎる山に又登ろうとしている」、【元の黙阿弥】
そして次に起こる事態は【通貨大波乱】。G8サミットでは「為替戦争を回避する」と宣言したが、わざわざ、そういうことを言わざるを得ない事態が進行しているということでしょう。
イギリスの国債アメリカの国債が格下げになり、1ドル50円の円高になることもあり得る。【為替切り下げ】に関しては金本位の固定相場とは違う。国家のコントロール下にないのです。固定相場制では止まる。変動相場制では止まらない。一夜にして50円ということもあり得るのです。(流れをつくればよい)360円が95円になったのです。95円が50円になっても不思議ではない。
確かに、浜先生の話は怖かったです(汗)。そして、終幕に向かう。
浜矩子の公開講座 - 葉っぱのBlog「終わりある日常」