嫌いになっちゃダメだよ。


ジョーンズとジョンがそっくりに見える。俺は顔音痴かなぁ。

隔月誌『オルタ 特集居住革命』(5-6/'09)の連載『隣の外国人 4 祖国のために』(取材・文/大月敬介)で、西川口パレスチナ料理の店を出しているイヤッド・マンスールの記事は面白かった。

イヤッド・マンスールはそれまで勤めていたレストランを辞め、軽トラックを購入してキッチンカーに改造した。そしてトルコ料理のドネルケバフの看板を掲げ、西川口で屋台を始めた。九年前の事だ。/ヤクザが度々ショバ代を要求しに来たが、彼は「金は払わない。逆に俺がもらいたい!」と突っぱねた。「優しいけどライオンだよ。ライオンだけど優しい」と自称してイヤッドは笑うが、彼の「理不尽を拒む激しさ」は幼い頃からの筋金入りだ。幾度となくヤクザと殴り合い、「またマンスールさんですか」と警察にもなじみの顔になった。(中略)
 西川口で屋台を始めてしばらくすると、イヤッドは持ち前の明るさとサービス精神で大勢の客と仲間をつくった。これならいける、と判断したイヤッドは、念願の自分の店を開いた。名前は「グリーン・グラス」。かってイスラエルで彼が働いていたレストランの名前だ。
 店を訪れる様々な客との関わりの中でも、イヤッドは「黙っていられないたち」を遺憾なく発揮する。家族を顧みない常連のサラリーマンに説教をして生活を改めさせた。恋人を作れない若者たちに「世話焼き」をすることもある。店で結婚したカップルも少なくない。風俗嬢を説得して足を洗わせた事もある、そんなイヤッドを慕って店に来る人々にとって、「パレスチナ」は自然と身近な存在になっていくのだった。/かってはパレスチナのことを何も知らない日本人に驚き、苛立つこともあった。パレスチナとはテロ組織の名だと思っている者すらいた。イスラムやアラブへの誤解や偏見に出くわすこともある。しかしその度にイヤッドは、やはり正面から向き合い、語って聞かせるのだった。/パレスチナの話になると、俄然イヤッドの言葉は熱を帯び、時にイスラエル人への激しい感情を露わにする。だが同時に、イスラエルを「嫌う」人々に対して、こうも思う。「嫌いになっちゃダメだよ」。それはあたかも自分自身に言い聞かせているかのようでもあった。「嫌いという言葉はそんなに軽いものじゃない。僕はイスラエルの子供を殺すことはできない。でも『嫌い』になったらいつか、それができてしまうかもしれない」。(p52~3)

機会があればこの店に行ってみたいねぇ。
★「グリーングラスパレスチナ料理/西川口
http://e-food.jp/blog/archives/2006/11/green_grass.html