高倉健/あなたに褒められたくて

あなたに褒められたくて

あなたに褒められたくて

病院の帰りに久しぶりにブックオフを覗いたら、高倉健の105円で『あなたに褒められたくて』が棚にありました。健さんのエッセイなんか読んだことがないので、ゴーストライターでも書いているのかなぁと、好奇心でめくったらとんでもない。間違いなくご本人ですね。
文体がなめらかでなく、時々おかしな言い回しもあり、その荒削りのメリハリがなんとも言えない味わいがあるのです。いい本だなぁ、しみじみ健さん、って感じ。読了したら、病院の図書室に寄贈しよう。

あの『八甲田山』やって、母が観に行った後、/「あんたも、もうこんだけ長い間やってるんだから、もうちょっといい役をやらしてもらいなさいよ」って言う。/「もうその雪の中ね、雪だるまみたいに貴方が這い回って、見ててお母さんは……切ない」って。/「あんた、もうこんなにやっているんだからね、もう少しいい役やらしてもらいなさいよ」って。/僕が荒れ性であかぎれが切れたり、いろいろするってのよく知ってるんですよ。/任侠映画のポスターでね、入れ墨入れて、刀持って、後ろ向きで立っているやつでね、全身の。肉絆創膏を踵に貼ってたんですよ。それを、/「アッ、あの子、まだあかぎれ切らして、絆創膏貼っとるばい」って。/見つけたのは、おふくろだけでした。全身のポスターで、誰も気がつかない。/「あんたがね〜可哀想」p197~8

かなわないねぇ。おふくろは…。
高倉健 インタビュー 2001年 その1 (1/3) : その2 (2/3) : その3 (3/3) :