希望はインフレ?

経済成長って何で必要なんだろう? (SYNODOS READINGS)円高、ドル安が進行している。
synodos readingsの芹沢一也荻上チキ編の『経済成長って何で必要なんだろう?』の第二章「戦争よりバブル、希望はインフレ」赤木智弘×飯田康之(司会・芹沢一也)p105を読む。「希望はインフレ」ってとてもよくわかる。
年金生活者のジジィにとってはインフレはとても痛みを伴うけれど、若者達にとって経済的視点から当然であるし、社会的承認の面から言っても元気の源であるし、少なくともイヤな不安感が軽減されるであろうけれど、問題は当事者たる若者が現状況をクールに認識してアクティブな行動をなかなか起こさないということでしょう。むしろ、年寄り達の声の方が元気で大きい。
寝た子を起こさないでおとなしくしてもらうためにもジジィ、ババは「もっと声をあげなさい」と背中を押す必要はないのですが、子供もなく、段々といのちが尽きる火影がちらちらすると、お節介にもコンセンサスをとれるようにアクティブに「声挙げ」をしなさいよと言いたくなります。
赤木智弘氏と飯田泰之は1975年生の就職氷河期世代ですが、この対談ではエコノミスト飯田泰之が講義している感じですね。

飯田 経済政策というのは、必然的に再分配をともなうわけです。僕が問題にしているのは、現在の日本では貧乏人の若者からとって金持ちの年寄りに配る結果になっている。この状況を動かすには、インフレや引退世代に税金を課すという案になるのですが、それを受け入れてくれる勢力がほとんどない。
 僕が新自由主義的でないところは、「再分配をしろ」というところです。細かい話はいろいろあるんですが、まず所得税の累進をきつくする。場合によっては生活保護を残存させていい。僕は公的年金がない、というかいらない状態にすべきだと思っています。
 年金というのは何をやっているのかというと、貧乏な若者から税金をとって、金持ちの年寄りに配っている。それよりも生活保護ベーシック・インカムで生活を保障し、それ以上の部分については、個々人が自分の判断で預貯金をすればいい。
 もちろん、金持ちの若者からとって、貧乏な老人に配っている部分もあります。しかし、おしなべて若者のほうが貧困率は高く、年寄りのほうが貧困率は低い。貧困率が高いほうからとって低いほうに配っているんですから、いったい何をやりたいのか、よくわからない。
赤木 そもそもここまで人が長生きするとは思っていなかったというのが、年金の大前提で、かつ、経済成長の時代においては、若い人のほうがいっぱいお金をもっていたということですよね。それが、バブルが崩壊して低成長に転じるなかで、老人と若者の力関係が逆転してしまったのに、いまだにシステムが見直されていない。p141

リフレ経済政策ですが、田中秀臣氏のブログ民主党「リフレ研究会」の記事がオモシロイ。
年寄りにとって安くものが買える状況がどんどん進行していって何やらお得感があるのですが、やがて「安物買いのゼニ失い」っていう状況になって、デフレスパイラルの臨界点にアクセスするようになるかもしれない。おお怖い!
本当にこの冬大丈夫か!?
10月3日に紀伊国屋新宿本店で雨宮処隣×飯田泰之との緊急トークイベントがありますね。

紀伊國屋書店新宿本店 トークセッション
『脱貧困の経済学』刊行記念
飯田泰之×雨宮処凛芹沢一也(司会)
「ところで、この冬どうなるの?」
http://www.kinokuniya.co.jp/01f/event/event.htm#shinjukuhonten_05

脱貧困の経済学-日本はまだ変えられる

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