「出版状況クロニクル 18」更新

小田光雄出版状況クロニクル 18 (2009年9月26日〜10月25日)が更新されています。今回は4番で、図書館について言及している。図書館の情報はなかなか入らないので引用コピペします。

4. 『出版ニュース』(9/下)に、カリフォルニア大学バークリー校東アジア研究図書館日本部長の石松久幸が「今、アメリカの大学でライブラリアンと呼ばれる職業が絶滅しつつある」という一文を寄稿している。これもまたグーグルとデジタル化がもたらしたものと言えるだろう。これも要約してみる。
*70年代のアメリ大学図書館は活気に満ち、最も人員が多かったのはカード目録を作る部署で、100人以上のカタロガーがいて、人海戦術によっていたために、それをサポートする学生アルバイトもいた。
*80年代になると、コンピュータによる目録作業が始まり、図書館の要員は減り始めたが、目録部に代わって、レファレンス・サービス部に活気があった。一般市民にも開放されていたこともあり、5万冊のレファレンス図書を備えた部屋のカウンターには5人のレファレンス・ライブラリアンが待機し、学年末には長蛇の列ができ、レファレンスは図書館の花形の場だった。
*しかし現在では目録作りはコンピュータにまかされ、レファレンスにもくる人がいなくなってしまった。そればかりか、図書館の8割の席が利用者で占められているが、蔵書利用者はほとんどおらず、持ちこんだ自分のパソコンを用い、書いたり読んだりしていて、カフェで勉強するのと変わらなくなっている。
*辞書も使われなくなり、インターネットのサーチエンジンがその役目を代行し、レファレンス・ライブラリアンはかつて「情報のゲートキーパー(門番)」と呼ばれていたが、もはや存在理由がなくなってしまった。
*図書館利用者が減り、フロアが削られ、図書館員も減っている。ビジネスライブラリーに関しては急速にデジタルライブラリー化し、レファレンスコレクションの90%が廃棄されたり、倉庫に送りこまれたりしている。それでも苦情は一切出ておらず、それはバイオ、化学ライブラリーにも及んでいるので、人文社会の分野も時間の問題だろう。
そして石松はこの一文を次のように結んでいる。「図書館は残る、巨大な倉庫として。管理人は残る、だがライブラリアンはいなくなる」と。
[ これもアメリカで起きたことは日本でも起きるとすれば、日本の図書館でもその傾向がすでに顕在化しているのではないか。とりわけ大学図書館は石松が描いている光景に覆われているように思われる。石松はバークリー全体の全図書館資料購入費のうちのプリント資料の占める割合が、すでに50%まで落ちこんでいると証言している。日本の大学図書館もデジタル資料の比率が高まっているかもしれない。誰か大学図書館関係者がそれらのことを発信してくれないだろうか ]

ヨコハマで、「図書館総合展学術オープンサミット」が11月10日〜12日まで開かれるが上記の小田さんのQに対して何らかのカタチで発信があればいいねぇ。
参照:http://d.hatena.ne.jp/l-library/20091111