母なる証明/母性のディストピア


京都みなみ会館ポン・ジュノ監督の『母なる証明』を観る。
宇野常寛が『ゼロ年代の想像力』、『批評のジェノサイズ』で盛んに言及している「母性のディストピア」ってこの映画そのものではないかと思いました。
僕は韓流映画に詳しくなくて監督も俳優の名前もよくわからないのですが、母親役のキム・ヘジャは吉行和子、息子役のウォンビン木村拓哉じゃあないかと思いましたよ。
原作は今年生誕100年ということでその名前を目にすることの多い、松本清張。監督は『砂の器』、『ゼロの焦点』、『張り込み』の野村芳太郎。そんな黄金時代邦画のノリで観てしまった。韓流ファンの方々にはご免なさい。
とても既視感のある映画だったのです。ネタバレになるので筋には触れませんが面白かったのは間違いない。『砂の器』は父と息子の物語で、『母なる証明』は母と息子ですが、そのやるせない風景に日本海を越えて通奏低音が鳴り響く海鳴りが聞こえましたよ。