北は山、南は湖、西は道、東は川

北は山、南は湖、西は道、東は川
ヴェルクマイスター・ハーモニー [DVD]
今年観た映画で今のところベスト1に僕の中でカウントしているタル・ベーラ監督の『倫敦から来た男』のカタログを読んでいたら、田中千世子が「生粋の芸術家タル・ベーラ」という批評コラムを書いており、そこで言及されていた共同脚本家のクラスナホルカイ・ラースローが京都を舞台にした小説『北は山、南は湖、西は道、東は川』を著していたことを知る。田中さんによると、

これは外国人の日本発見などとはレベルの違う優れた文学である。京阪電車の通る街に、源氏の孫君が登場するー谷崎潤一郎への挑戦のような小説だ。視覚と歩行とそして言語から出来上がっている不思議な小説である。タルは京都でこの小説を映画化したいと思っているかもしれない。あるいは、これをそっくりそのままブダペストに置き換えることも可能だろう。
タルもクラスナホルカイも能を愛する。それも幽玄な能がことのほかお気に入りだ。もっとも『倫敦から来た男』の人々の歩き方は普通で、能舞台のすり足にはなっていないのだが、動作は概してゆっくりしており、カメラの動きがゆるやかである。話し方もリアルさとは少し異なる。そんなところに能が感じられる。いや、感じられるどころかカメラによる能をタルは確信しているのだろう。

京阪電車「視覚と歩行とそして言語から出来上がっている不思議な小説である。」ってどんな小説なんだろう。地元の図書館で借ります。
その前に劇場公開されたタルの前作『ヴェルクマイスター・ハーモニー』をレンタルしよう。
あればねぇ。多分ないとは思う。