紙の本が亡びるとき?

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紙の本が亡びるとき?
前田塁の『紙の本が亡びるとき?』(青土社)を読んでいるのですが、
「グーグルブック検索著作権集団訴訟和解のための和解管理ウェブサイト」のテキストがもうひとつよくわからなかったが、
本書の冒頭でその要諦を説明してくれている。
非常にわかりやすいので、引用してみます。

(1) グーグルは、すでに米国内のいくつかの図書館と提携し、収蔵資料の電子化を始めている。そこでは一定の公共性を前提としつつ、近い将来のグーグルによるデータベース販売(著作権切れ作品と著作権者不明作品、絶版書および権利者が許諾した非絶版書籍)をも、視野にいれている。
(2) 右に対し、書籍全体の無断スキャンおよびそのアーカイブ化は著作権者の権利を侵害している、という旨の訴訟が米国内で起こされ、のちに和解した。
(3) 和解内容は多岐にわたるが、おおまかに言えば、
  A 「和解時点までに終了していたアーカイブ化については、グーグル側が一定の和解金額を支払う」
  B 「グーグルは書籍の版権管理台帳を作成、全著作者を対象に登録を募る」
  C 「和解以降のアーカイブ化については、米国内法のもと、前例にもとづいて処理」
D 「グーグルが作成したアーカイブについては、右の版権管理台帳をもとに、和解を締結した著作者との間で個別交渉、一定の方針に従ってグーグルはその使用権を行使する(ただしその権利は非独占的なものであり、他の出版社や団体による同様のアーカイブ化を妨げるものではない)」等々。
(4) 上記和解に参加した著作者は、公開の有無やその方法(図書館データベースへの登録や、グーグルによる電子販売など)について、意向を作品(書籍)単位で自由に設定することができる。
(5) 右は米国内での和解であるが、著作権を規定したベルヌ条約では、「条約加盟国の全著作者は自動的に、すべての加盟国内で著作権を持ち」「著作権の行使については、各加盟国内の法適用に従う」ことになっている。そのため、日本国内でのみ発行・流通された書籍の著作者(および著作)も、米国内では上記和解の対象となる。
 
 もちろん詳細ははるかに多岐にわたるが、きわめて大雑把な流れで言えば彼らが言わんとしているのは、以下のようなことである。「2009年1月5日以前に発行された、あらゆる書籍のりスト化/アーカイブ化をしたい」→「前者にかんしては、どこからどこまでが「リスト」かの定義が必要」→「グーグルとしては、索引・キーワードは自由にリスト化できると考えている」→「書籍の全体の抜粋も、できればそこに含めたい」→「そうしたリストをつくるためにはすべての書籍をいったんアーカイブ化することになる(それは、あくまで私的使用と捉えてもいいし、公共目的の図書館と連携してもいい)」→「そのときデータ化した本文も、許諾された分にかんしては公開(販売)したい」→「それら一連の作業を円滑に進めるために、国際的な版権管理システムを非営利団体として作ったので、世界中の著作者と出版社は、そこに登録してほしい」……。

なるほど、なんとか全体像が見えてくる。この流れはとまらないでしょうね。