ガン病棟のピーターラビット

ガン病棟のピーターラビット (ポプラ文庫)ガン病棟〈第1部〉 (1969年)転移
中島梓の『転移』、『ガン病棟ピーターラビット』を読了。
中島さんが文中でソルジェニーツィンの『ガン病棟』について書いている。

 で、そのあとの「大アタリ」は、陰惨にも、ソルジェニーツィンの『ガン病棟』でした。国立ガンセンターに癌の手術で入院している人間が『ガン病棟』を読でるんだから、冗談みたいなものですが、これは実は初読で、「ああ、やっぱり『文学』というのはいいものだなあ」とつくづく思いました。この重量級の手ごたえ。この感動。すっとひきこまれる心地よさ。ソルジェニーツィンを弾圧するロシア政府ってのは糾弾されるべきだと思ったわけですが、うーん、そうなるとねえ、自分もやっぱり物書きであるだけに「こういう重量級の手応えある文学作品に比して、いまの日本にみちみちている安直な娯楽作品というものは、しかし……」などと考えてしまいまして、これはこれであんまり居心地はよくありません。ー「退屈という名の病2008年1月10日よりー

 中島さん、ガン病棟を三日かけて読んだのですが読後の余情で他の本が読めなくなった。アタマの中が『ガン病棟』の重厚きわまりのない世界で一杯になったということです。
 ちなみにエル・ライブラリーの古本市に『ガン病棟』の単行本が上下ともありますよ。