西村賢太『暗渠の宿』
- 作者: 西村賢太
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/01/28
- メディア: 文庫
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- ジャンル:ケーキ
- 住所: 豊島区南池袋1-28-1 西武池袋本店 B1F
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- (写真提供:yamanoaki)
はな、はなは、端なんだと理解できるまで時間がかかった。(汗)
突然、とても難しい漢字も出てきたりする。慊いものにさせてくる。とか
でも洋菓子の「ヨックモック」を藤澤清造の命日に金の余裕がある時に七尾の副住職に手土産として持参するのですが、そんなに美味しいのですか?僕は味わったことがない。大阪、京都のデパートで売っているなぁ。
はな食べたくなった。
王子と滝野川あたりのマンションですか、いいところに住んでいますねぇ。滝野川図書館は良く行っていたし古川庭園、飛鳥山公園は徘徊コースでした。
結構、金回りのいい日々を送っていたのですねぇ。
風俗、古書、毎月七尾での藤澤清造の法要、そのためにアパートまで借りている。強かで生活力のある主人公です。
「ねぇ、あのお菓子、あのまま取っといて、来月お寺に行くとき持ってくの? ラベルに書いてある賞味期限とか、来月になるとそのぶん短かくなるから失礼になるんじゃないの?」と尋ねてきた。
その物欲しげな口ぶりに、私はつい噴きだしてしまい、食べたいのかと聞けば、女は素直に頷く。何でも彼女自身、かの洋菓子は大好物のひとつでもあるらしい。
「なら、開けちゃえよ。いいよ、お寺には来月また新しく買っていくから。どれ、ついでにぼくもひとつお相伴に与かるかな」
「じゃ、コーヒーいれるね」
途端に女は喜色にはずんだ声を出し、いそいそ台所に立ってお茶の用意を始めたが、やがて運んできたインスタントコーヒーは砂糖とクリープも入ってないやつで、
「このお菓子には、この方があうんだよ。これ食べながら飲んでみ。どっちもの味が、すごくひきたてあうんだから」
うれしそうに言い、数種の詰め合わせになってる菓子を順々に口にしながら、女はコーヒーをこくりと飲む。そして、「ああ!」と幸せそうな吐息を洩らすその表情は、まるで頑是ない童女のよう。
そのあどけないさまを見ていると、私は今さらながらにつくづく彼女が愛しく、この女を得たよろこびがしみじみと思われてくるのである。
名文ですねぇ。美味しいそう。貧困に喘ぎ、酒に溺れ、嫉妬に狂う「私小説」なのにこんなシーンにヒットする読み手の僕でした。