東京都立図書館司書の07年問題

 今日の毎日新聞朝刊の「記者の目」より署名記事ですが、『冷淡すぎる作家のの都知事』を読むと図書館行政の劣化に驚く。都立図書館の資料費が今年度当初予算で、10年前の半分以下の一億九九三七万円に減ったという。図書館を頻繁に利用する僕としては嘆かわしい状況ですが、地元の公民館も有料になりましたね、色々と反論があろうかと思うけれど、施設も資料も充実するなら、有料の図書館があってもいいと思う。
 昔から、東京でも、こちらでも結構、勘違いしている人がいるのですよね、僕が良く図書館を利用すると言うと、「本を借りるといくらなの?」って訊くのです。僕がタダだと答えると驚くのです。そんな状況があるのは事実ですね。
 それと寄贈のシステムを簡便に出来ないかなぁ…、現場の司書の方の話を聴いても「寄贈」ってフィルムを貼ったり、カード番号シールをつけたり、資料として棚に並べる前のコストが結構かかる。「ありがためいわく」が結構多い。そんな時、リサイクル棚を設けて処分するのですが、これも大変。先日、地元の図書館でボランティア達がリサイクルフェアをやりましたが、本の効果的な利用って本当に大変ですね、都立の三館合わせた蔵書は237万3千冊ですって、日本図書館協会常世田良理事は図書館の本棚を漬け物の「ぬか床」に例え、司書が日常的に整理整頓することの大切さを書いているが、本屋でもそうですね、放置すると、「死に棚」になってしまう。
 あっちへ移動、こっちへ移動と、入れ替えることで、背文字が生きてくることもあるのです。まあ、図書館の場合は分類法が決まっているので本屋のようにとんでもない思い切った陳列は出来ませんが、それでも、毎週一度くらい、時流に適したテーマ陳列は出来ますし、東京の区立中央図書館で、そんなテーマ陳列をこまめにやっているところがありましたね。
 そのような日常的な活動で都民、府民、市民のみなさんに図書館を知ってもらうことをもっと意識的にやってゆく必要があると思います。地元の図書館に頻繁に出入りしている僕ですが、それでも近所の人と遭遇することは殆どない。子ども達を除いて大人達が図書館をあまり利用していないんだという実感はあります。だから、僕が来館すると大歓迎ですよ。借りると、嬉しそうに「ありがとうございます」って言われます。ホント、恐縮してしまう。
 参照:石原知事の会見記事から: 葦岸堂之日々是日々

褐色のブルース

うたかたの日々 (ハヤカワepi文庫)日々の泡 (新潮文庫)うたかたの日々成功したけりゃウソをつけ!
 約束通り『黄泉の犬』のbk1書評投稿をしました。そもそも、最初に投稿したのが藤原さんの本でした。僕が大昔よく口笛を吹いていたメロディーに映画の主題歌『墓に唾をかけろ』の中から「褐色のブルース」がありました。藤原さんの自叙伝でこの映画について書いているくだりがありましたね、生家が倒産した60年、アベさんのお爺さんである岸信介強行採決した安保の年であったのですが、僕にとって見知らぬ土地への引っ越し騒ぎでした。藤原さんも全く同じ1944年の早生まれで、僕は呉港で藤原さんは門司港で少年時代を過ごした。そんな彼が『この映画』を同時期見て、同じように「褐色のブルース」の口笛を吹いていたとの発見が、ちょいとした驚きの発見でした。まあ、それ以降の生き様は全く異なる。
 僕は日本を脱出しなかった。するつもりでもあったのです。ヨコハマの新聞専売所に転がり込んだ頃、フランス国籍の貨物船が雑用係を求人しているのを新聞で発見したのですが、同じ紙面にカタカナの店名の本屋さんが当時、ワンフロアー230坪という当時では巨大フロアーで、関内駅に隣接の流通革命の先駆けのスーパーマーケット理論を基軸した新しい方式の本屋さんを立ち上げたのです。そして、貨物船にのるのをパスして本屋さんに就職したわけです。1968年の頃の話ですよ。
 そうそう、この映画の原作者はボリス・ヴィアンですが、文庫の方は絶版になって、全集版であります。しかし、この映画の試写会を見てあまりのひどさ(原作者にとって)に怒り心頭して、その夜、心臓発作で亡くなったという有名なエピソードがありますね。享年39歳で、彼自身は40過ぎまで生きるつもりはなかったのですから、本望だと思うのですが、怒って、心臓発作で死ぬのは本望ではなかったでしょう。無念。
 邦題は
『日々の泡(うたかたの日々の邦訳もあるらしい)』なのですが、ひょっとして、ソネアキラさんのブログは『うたかたの日々』で、ここから由来するのかなぁ、そう言えば、ソネさんがライターの一人として加わった『成功したけりゃ嘘をつけ!』(辰巳出版)が発売されますね、bk1のデータはアップされてはいるが、店頭に並ぶのは休み明けなのでしょうか。