宇野亜喜良/寺山修司

毎日新聞(6月2日付)によれば、新書館の「フォア・レディース」シリーズのうち、寺山修司宇野亞喜良のコンビによる『ひとりぼっちのあなたに』『さよならの城』『はだしの恋唄』が三冊セットで復刊(3990円)。オリジナル版の編集者だった内藤三津子さんという方が、復刻版でも編集を担当。⇒『新書館』
現役の書店員だった頃、宇野亜喜良寺山修司の詩画集はメンチン、平積みで良く売れただけでなく、棚そのものを華やかなものに替えた。そして、1969年1月25日、ぼくの居た本屋で寺山さんのサイン会をやった。実を言えば、前日、サイン会をやる予定であったのが、予定が狂い、当日になったのです。当時、本屋でサイン会をやるのは珍しく、段取りに支障があったのであろう。でも、お陰で寺山さんの発意だと思うが、サイン会が終わったら、喫茶店で観客なしのトークセッション(まあ、ミーティング)をやることになり、男子学生二人と女子高校生一人、そして、青年(僕のこと)一人で寺山さんが仕切って、生きるということ、働くということ、夢と欲望について、等、お話をしたのです。三十年以上前のことなので、僕の記憶もぼんやりとしていますが、多分、新書館主催だったので、テープの記録は残っているのではないか?
毎日新聞の記事でそんなことを思い出しました。ぼくの居た本屋は開店当初は業界の話題となり、華々しいデビューを飾ったが、段々現実との齟齬を来たし、フロアーも小さなっていった。それで、近くの超有名な大型書店が対抗上かようなイベントを意識的にやるようになっていったが、逆にそんなイベントをやる体力もなくなっていった。そんな数少ないサイン会で、『高田渡』っていう今も現役でシコシコ歌っているフォーク歌手を招いたことがあります。そう、『自衛隊に入ろう』ってヒットしましたね、その彼のドキュメント映画が上映されているのです。『タカダワタル的』って、今、検索したら、彼のデビューは1969年なんですね、それから、ず〜と、同じキャラ、ペースで音楽活動してるのだと思うと、それだけで、胸が熱くなる。6/25日まで、テアトル梅田で上映されています