茂木健一郎「脳の冒険家」

◆モギケンイチローは、ある日、ココロのリングを不思議と思った。「ぼくはぼくであることはどうして?」、この世界の豊穣さに想いを馳せた。1000億の神経細胞がざわめく。その関係性の深い森に分け入ろうと、決心した。彼のお供は小人の“ホムンクルス”と、不死身で怖れをしらない“哲学ゾンビ”ですが、彼を支えるのは“夢か現か”、美しきクオリアちゃんで、茂木健一郎の『指輪物語』は始まったばかりだ。解明され得ない謎かもしれない。され得ない事を知るための知の旅かもしれない。それでも、旅を続けざるを得ない冒険家なのでしょう。おそらくぼくは茂木さんの落とした果実であれ、ノイズであれ、拾い食いしたり、野次馬として楽しんだりとしながらも、時として、「意識は、心はどうして、物質の振舞から生まれるのか?」、<私>と<世界>について、認識と存在について、考えること以上の愉しいことはないことを、再認識してしまうのでしょう。これからも茂木健一郎を追跡したい。勿論、批評的であることも必要です。『脳内現象』(NHKブックス)は、そのような宝探しの読み手の解読によって補完と想像されるべく作成された地図です。新しい旅立ちに参加するかどうかは、勿論、あなた次第です。マッハの原理によれば、関係性(リンク)が先にあって、質量が生まれる。
"『クオリア日記』#『脳内現象』