知って欲しい「誰も知らない」

昨日は、優太君の奇跡の救出劇で子どもの生命力に驚嘆しました。是枝裕和監督映画『誰も知らない』は都会で置き去りにされた四人の子ども達が水道も、ガスも電気も止められたマンションの一室で泣き笑い、喧嘩しながら生き抜く物語ですが、お兄ちゃんの柳楽優弥君がコンビで知り合った都会に馴染まない、少し鈍なお姉ちゃんに弟や妹達に、お母さんは子ども達を見放していないんだよとのサインの意味でもあるお年玉の宛名にコンビのお姉ちゃんに代筆をしてもらったりするのですが、その優弥君にしても、お姉ちゃんが心配して福祉の人に相談すればと言うのを断固、「みんなで、一緒に暮らしたいんだ、ばらばらになるのは嫌!」と拒否する。
子ども達の野良人同然の生活が始まる。インスタントラーメンをそのまま齧る弟の野蛮の強かさ、末妹の繊細さ、水が不自由なのにベランダに草花を育てる。お水をやろうとして妹は椅子から落ちる。カップ麺の鉢は二階から落ち道端に四散する。
その天使の妹はモノレールに乗って羽田空港に行き、飛行機を見たかった。お兄ちゃんの優弥君は自然な演技で他の子ども達も芝居臭がなく、ドキュメンタリー映画を観るような質感で、今、暮らす都会の日常とつながる怖さ、やるせなさ、それでも、子ども達の生命力に感嘆したのでした。年寄りの僕たちが、むしろ彼らの生命力の足を引っ張ろうとしているところがある。“あの野蛮”をリスペクトすべきなんでしょう。
そらそら映画「誰も知らない」サウンドトラック映画「誰も知らない」サウンドトラック
ぴぴさんが、『誰も知らない』の映画レビューを書いています。目一杯、感情移入した泣きを堪えた五つ母子(★)です。⇒『シネマ日記』をクリックしてください。
パリに在住の“けいさん”があちらのメディアの反応を翻訳紹介してくれています。
『目の中の記憶 耳のなかの残響』(04年11/14)メルさんも『メルの本棚』で、見事なレビューを書いています。