愛する

京橋から大阪城公園でYに会ってIMPで安いサービス・ランチを食べながら、話を日本映画名作鑑賞会『映画に描かれた関西』に振ったのですが、彼は余り興味を示さない。『ジョゼと虎と魚たち』はもう観たし、ぼくの手元にある三枚の葉書に関心を持たない。『血と骨』は観たいと贅沢を言う。
 本状一枚で二名まで大丈夫のだが、仕方がない一人で行くか…。ラインナップは?11/14・中島貞夫監督『序の舞』、『懲役太郎 まむし兄弟』で監督のトークもある。?11/21・三隅研次監督『女系家族』、中平康監督『当たりや大将』、?11/25深作欣二監督『道頓堀川』、大森一樹監督『風の歌を聴け』です。折角、秋が来たのに、昼間から天王寺公園映像館まで足を運んで、暗い映画館で過ごすのはもったいない気がしないでもない。ぼくも余り気分が乗らなくなってしまった。それで、どうしても、観たい、行きたい人がいれば、この拙いブログをロムしてくれる御礼にプレゼントします。興味のある方はメールを下さい。但し、葉書は各日毎一枚しかないので、悪しからず…。
 ところで、Yがレンタル屋で借りたビデオで、原作が遠藤周作の『私が棄てた女』の映画を観たと言うのです。でも監督が熊井啓、俳優が渡部篤郎酒井美紀でぼくが観た60年代の浦山桐郎監督、河原崎長一郎、小林トシ江のものと違うみたい。彼はこの浦山桐郎の方はみていないのです。この映画は銀座の並木座と池袋の文芸座の定番名画で、二、三回見て、ぼくを含めて?会場から啜り泣きが聴こえてくるやるせない映画だったのですが、確かこの映画ではハンセン病のことは記憶にないのです。ただ、貧乏学生が学生運動にのめりこみはするが、その挫折感と上昇指向が自意識肥大した鼻持ちならない若者として登場し、美人とはいいがたい無垢なる女を棄ててしまう。映画で浦山ものと熊井啓のものを手元にないので、確認できないが、Yが最近みたのは1997年制作の遠藤周作の原作に忠実なものらしい。ただタイトルが『愛すること』である。彼はヤンキースの松井の大ファンだし、そのいい人らしい酒井美紀が森田ミツ役を演じているし、ぼくから『私が棄てた女』のことを聴いていたので、原作のクレジットを見て、借りたらしい。
この映画『愛する』を観て、Yはショックを受けたみたい。<極私>的にY自身のラブ・ストーリーと瓜二つであったのですから、ハンセン病といえば、武田徹が『隔離という病』(講談社)が出版されているが、今文庫化の予定があって増補版が出版されるらしい。Yの話では新しい映画の方はハンセン病が前面に出ている。浦山の方はどうであったか、何せ、35年前の映画なのですから、もう一度観るしかないですね、そして、『愛する』もレンタルしよう。でも置いているかな?この映画をみなさん、観ましたか?映画『私が棄てた女』映画『愛する』
わたしが棄てた女 (講談社文庫)わたしが棄てた女 (講談社文庫)映画に憑かれて 浦山桐郎―インタビュードキュメンタリー映画に憑かれて 浦山桐郎―インタビュードキュメンタリー 愛する [VHS]