風流なアジール人達/今日は今日庵で初釜

眼の哲学・利休伝ノート (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)千利休―無言の前衛 (岩波新書)西行花伝 (新潮文庫)秀吉と利休 (中公文庫)茶の本 (岩波文庫)

人生七十 力囲希咄 吾這宝剣 祖仏共殺 堤る我得具足の一太刀 今此時ぞ天に抛 ー利休
願はくは花の下に春死なむそのきさらぎの望月のころー西行

◆ノ貫(へちかん)の辞世句は伝わっていないけれど、朱塗りの天傘を残した。茶席で使われる真っ赤なピーチパラソルみたいなやつです。大学の部活で美浜海岸の砂浜にこのノ貫を立てて、野点を行ったことがあります。抹茶に氷を入れて、お茶を立てる。学生の茶道だから、そんな逸脱の作法も許されたのですが、今から思えば、婆娑羅なノ貫(へちかん)のパフォーマンスの足元にも及ばない。秀吉が催した北野大茶会は様々な人々が集い、そのアジールな祭典は後世に伝えられていますが、あの真っ赤な天蓋は豊臣秀吉の目を惹きつけた。彼は無縁、異界、いわば悪党の力を畏れたのであろう。それはいつか、恐れとなって、利休に切腹を命じたのかもしれない。

【豆知識・野点の朱色の傘】野点の茶事で朱色の野点傘をさしますが、「ノ貫(へちかん)」って言うらしい。ノ貫は 千利休と同時代の茶人で風変わりな茶事を行ったらしい。それでノ貫風は風変わりであるけれど、それなりに評価、リスペクトされた。北野大茶会で秀吉は“へちかん”の茶席に大きな真っ赤な傘がさしてあったので、大変気に入り、その風が野点で使われるようになったのです。