大阪府労働情報総合プラザ/中之島図書館

13歳のハローワーク映画の中の本屋と図書館極西文学論―West way to the world人間的自由の条件オニババ化する女たち 女性の身体性を取り戻す (光文社新書)
◆成人式に『引きこもり者に語る言葉は何?』というぼくのエントリーに対して、てるてるさんが『ひきこもり体験者ブログ』を紹介してくれたり、後藤和智事務所がトラバしてくれましたが、色々な問題に繋がるので、目の前に当事者からそれとなく、SOSを発信されたら、ぼくはどう答えることができるであろうかと、切実な問題として考えてみたいのですが、僕自身が当事者でないことは間違いないので、返答に窮するなと、家出なら、体験を交えていくらでも語ることが出来るし、かっての寺山修司のように『家出のすすめ』とアジテートするのですが、モグラで生をやり過ごしたいと望んでいる若者に、どうやって、背中を押すことが可能か?親世代が稼いでいる間は働くことをベンディング出来るが、いつか、そんな経済的支えがなくなるよと、それから、やっと腰をあげても30、40歳代では余計、社会適応がきつくなる。そんな警鐘をどうやって、まず身近な若者の一人一人に気づきのサインを送るか、それが、本当にムツカシイ。ホームレスにもサバイバルのスキルが必要なんだから…。それに比べれば、単純作業であれ、ちょいと働いてみることは簡単だと思うがそうはいかないみたい。某作家が言ったように、働かない、サボることには結構しんどい哲学が必要だが、働くことにはそんな面倒な哲学は必要ない。村上龍のように自己実現の場として働くことに夢と幻想を与えてアジテートするのは簡単であるし、言う方もいい気持ちになるし、言われる方も自己肯定観が脅かされないで、お互いに微苦笑したり、政治、社会を攻撃したりと、でも攻撃の矢は本人にストレートに向かわないで巧妙に回避されて、まあ、あわてないで、自分の本当にやりたい仕事を見つけるんだなぁ…。で、幸福なベンディングが先に延びる。目の前にぶら下がったにんじんの夢がリアルな感触で束の間見える。香山リカの『就職がこわい』講談社)はそんな若者、保護者達にクールに応接して、時たま冷水を浴びる。

もちろん、これから社会に出ようとする若者に、「仕事で『自分らしさ』を求めようとするのはやめなさい」と言うつもりはない。(中略)/村上の「大きな会社に入れば一生、安泰という時代は終わった。だからいまこそ、好きなことを仕事にしろ」というメッセージは、それこそ十三歳、十四歳のまだ不全感もそれほど育っていない少年少女には有効かもしれないが、就職活動を控えた大学生や無業の二十代、三十代には「もう遅い」としか聞えないのではないか。/それよりも私は彼らに、こう言いたい。/「嫌いなことをやるよりは好きなことを仕事にするほうが楽しいけれど、かといって楽しい仕事がいまあなたが抱えている問題を解決してくれるわけじゃないんだから、職業選びや会社選びではあまり思いつめないほうがいい。その前に、まず仕事をしてみよう」/このメッセージが伝わりにくいのは、若者がその途中、「あなたの問題を仕事は解決しない」というところで「やっぱりか」とがっかりし、その先をきいてくれないことだ。(200頁)

◆『私って、何?』は哲学の第一歩ですが、それは又、躓きの穴ぼこに落ち込む第一歩でもある。でも『私探しの旅』は私を解体し、会社を国家を解体して無限へと繋がる修業者の旅なのであって、「安易な私探し」は病に過ぎないといった認識を持つべきではないでしょうか、そんな“掛け替えのないもの”を求めるには“掛け替えのある”交換によって成り立つ資本制そのものを全否定するしか、手立てはない。そんな覚悟が必要なんだと思う。無責任に広言すべきものではないと思う。村上龍さんも掛けがえのない仕事として凄い作品を書いて欲しいものです。彼は立派な小説家なのですから、小説だけを書き続けて欲しい。♪『13歳のハローワーク』

  • 付記:香山リカ就職がこわい』は天満橋にあるエル大阪二階の「大阪府労働情報総合プラザ/図書館」(注:エル・ライブラリーに変更)で借りました。ここは社会労働に関する専門図書館ですが、一般の方も来館出来ます。気楽に“働く”ことを考える場としては京阪天満橋駅近くにあるし、大川は望めるし、立地条件は最高です。ぼくのコースはそれから、歩いて、中之島図書館に行ってきました。ここは言うまでもなく由緒ある建物で、来館者が利用できる端末も充実してここで、暫くネットサーフィンと、新刊チェックをしました。

【近日受入れ】:三砂ちづる『オニババ化する女たち』(注:内田樹ブログコメント)、渋谷由里『馬賊で見る「満州」』(講談社選書メチエ)、鶴見裕輔『正伝・後藤新平 1 医者時代』(藤原書店)、八切止夫『庶民日本史辞典』(作品社)、白鳥庫吉国史』(講談社)、デビッド・フリードマン『ペニスの歴史』(原書房)、荷宮和子『なぜフェミニズムは没落したのか』(中公新書ラクレ)、種村季弘『楽しき没落』(論創社)、『芸術家・思想家のラストメッセージ』(フィルムアート社)、堀切直人唐十郎がいる唐組がある二十一世紀』(青弓社)、飯島朋子『映画の中の本屋と図書館』(日本図書刊行会)、井口奈己『犬猫』(フリースタイル)、仲俣暁生『極西文学論』晶文社)、森見登美彦四畳半神話大系』(太田出版)、竹田青嗣『人間的自由の条件』(講談社)、『アーレントヤスパース往復書簡 3』(みすず書房)、アントニオ・ネグり、仲正昌樹訳『ヨブ奴隷の力』(情況出版)、etc。

◆ここでは、簡単にプリントアウト出来ますので、そのまま、図書カードとしてデータ保存出来るのです。とても調法しています。