読者って消費者?

夜のピクニック太陽の塔チルドレンセックスボランティア私が語りはじめた彼は
◆昨日、紀伊国屋書店スタッフ(800件の応募)の選ぶ(キノベス2004)を紹介しましたが、コメントを寄せられた退屈男さん、ぴぴさんと自他共に認める本好きなのに書名どころか、作者名さえはっきりわからないライナップで、葉っぱ64さんと同じと、喜んでいいのか哀しんでいいのか、複雑なコメントをもらいましたが、続きとして、30位まで報告します。

♪11位『あさ/朝』谷川俊太郎吉村和敏/アリス館(注:夏の雨さんレビュー)♪12位『晴れた日は巨大仏を見に』宮田珠己白水社♪13位『佐藤さん』片川優子講談社♪第13位『マネーボール』マイケル・ルイスランダムハウス講談社(注:yama-aさんレビュー)♪第13位『フューチャーイズワイルド』ドゥーガル・ディクソン他/ダイヤモンド社(注:萬寿さんレビュー)♪第16位『負け犬の遠吠え』酒井順子講談社(注:やっと拙レビューあった。去年読書会でテキストに使いました)♪第16位『太陽の塔』森見登美彦/新潮社(注:GGさんレビュー)♪第18位『砂浜』佐藤雅彦紀伊国屋♪第19位『テーブルの上のファーブル』クラフト・エヴィング商会/筑摩書房(注:風さんレビュー)♪第20位『上司は思いつきでものを言う』橋本治集英社♪第21位『図書館の神様』瀬尾まいこ/マガジンハウス(注:アベイズミさんレビュー)♪第21位『下山事件』森達也/新潮社(注:宮島理さんレビュー)♪第21位『セックスボランティア』河合香織/新潮社(注:品切れ?)♪第24位『犯人に告ぐ』雫井脩介双葉社(注:みーちゃんさんレビュー)♪第24位『好き好き大好き超愛している』舞城王太郎講談社(注:yama-aさんレビュー)♪第24位『アフターダーク』村上春樹講談社(注:これも読み、レビューを書きました)♪第27位『頭がいい人、悪い人の話し方』樋口裕一/PHP研究所♪第28位『言いまつがい』糸井重里/東京糸井重里事務所♪第29位『Good Luck』アレックス・ロビラ他/ポプラ社(注:夏の雨さんレビュー、あのグッドラックと違います)♪30位『DEATH NOTE1〜4』小畑健大場つぐみ集英社(コミックです)。

流通の第一線で自分達の目利きでリアルの空気を感じ取りながら、発信してこんなベスト30をピッキングする試みは、選書がぼくには納得がいかないまでも、とてもいいチャレンジだと思う。他の本屋さんもこのようなパフォーマンスをしたらいいのではないか、大阪・京都では、旭屋、ブックファーストジュンク堂丸善大垣書店など、全従業員(アルバイトも含めて)からデータを集積すればいい。読者投票とは違った結果が出てくるでしょう。出版社も自社出版物を選択しないという禁じ手をルール化して投票すればいいと思う。取次ぎの全従業員のデータなんか面白いかも知れない。後、全国の図書館員のデータも集めれば、全然違ったベスト30が出てくるかもしれない。

それにしても、ぼくはリアル書店以上に新中古書店を贔屓にしている。出版社の方達から白い目で見られるかもしれませんが、目利きの書店員が選書したものであれ、実際に読者(消費者)が購入したものであれ、ぼくの欲望を掻き立てるものと大幅にズレているのにゲンナリしてしまうことが多い。まあ、例外もありますが、個々のアルバイトも含めたスタッフの本に対する思い入れ、温度差は、僕とは違うシーンで蛸壺的なマニアぶりを多分、発揮するのでしょう。去年の春、新中古書店で105円で購入したリストを旧ブログでアップしたのですが、かような本をリアル書店で買おうと思えばちょいと、骨が折れる。それを廉価で手に入れたというわけです。やっぱし、流通のOSがオカシイという気づきは総論では業界に携わる人達は持っているはずなのに、この十年、何がどう変わったのであろうか?一読者としては欲しい本が安く購入出来たり、図書館で借りれたり、欲しくない本が店頭で薄い荒利(ヨン様の写真集は現金仕入れで9掛け以上だったらしい)で定価販売されているので、<極私的>には歓迎すべきなのですが、何か後ろめたいのです。

☆新中古書店で百円以下で購入したリストとを公開します。(2004年4月27日の旧ブログより転載)
1.『朗読者』ベルンハルト・シュリンク著新潮社
2.『14歳からの哲学』池田晶子トランスビュー
3.『カルヴィーノの文学講義』イタロ・カルヴィーノ朝日新聞社
4.『ウンベルト・エーコの文体練習』ウンベルト・エーコ新潮社
5.『理想の国語教科書』斉藤孝文芸春秋社
6.『声に出して読みたい日本語』斉藤孝草思社
7.『ローマ人の物語?、?』塩野七生新潮社各巻
8.『プルタルコス英雄伝上・中・下』村川堅太郎ちくま学芸文庫
9. 『ドストエフスキーの詩学』ミハイル・バフチンちくま学芸文庫
★文庫はリストアップすれば切がありません。新中古書店同士が競争して、古本市場が期間限定で、文庫全点、百円セールをやったのです。
10.『酩酊船』森敦筑摩書房稀覯本
11.『世界文学全集57』筑摩書房(ロート「ラデツキー行進曲」収載)
12.『路上の視野』沢木耕太郎文芸春秋
13.『知の技法』小林康夫東京大学出版
14.『知の論理』同上
15.『恢復する家族』大江健三郎、ゆかり共著講談社
16.『優しい去勢のために』松浦理英子筑摩書房
17.『<癒し>としての消費』大塚英志ケイソウ書房
18.『ミカドの肖像猪瀬直樹小学館
19.『脳が読む』養老孟司法蔵館
20.『脳の中の過程』養老孟司哲学書房(注:今、人気の養老さんの本は図書館のリサイクルでもらったものです。リサイクル本にも結構な本があるということを知ってもらうために付記しました)

◆ホンの一部の本をアップしました。極端に言えば、今、中小の新刊書店より、新中古書店の方が美味しい商品が並んでいるということです。彼らが本を見切りよく、商品と取り扱った結果、こんなパラドックスを産んでいるのです。
図書館のリサイクル本もスゴイ。『民俗の事典』『風俗辞典』は図書館の司書もビックリしていた。「私も欲しい」「?」、担当者が違うのです。