多くを望まない、ただ「恥」を知ることです。

国会議員の公約と行動―全衆議院議員この一年の記録‐1997惑星ソラリス [DVD]ソラリス (スタニスワフ・レム コレクション)惑星ソラリス [DVD]
◆昨日の『4分間』のエントリーと武田徹さんは連日、NHK問題についてブログ掲載しているが、今日のオンライン日記はこんな時期にでもこんな風に対応してしまうマスコミ体質をあっけにとられ感慨すら覚えると書いている。<BBCの内部改革案についてNHK放送文化研に取材。ゲラ見せろと要求される。NHKの事前検閲問題がホットな時期にもそれを言うかとある種の感慨すら覚えた。(続く)>⇒『オンライン日記』(1/21)
こうなると、単にNHKだけの問題でない。マスコミの体質に共通に横たわる膿なのでしょう。その膿を少なくとも定期的に掃除するチェックが働いていないと益々病根は深くなるばかり、「恥」を知る選挙民が一人でも増えて欲しいと願うばかりです。処世術だけで生きるなんてつまらないではないですか?こんなオトナたちを見ているこどもたちに何が言えるというのか?少なくとも「クレヨンしんちゃん」は「恥」を知っている。
◆今回のNHKの問題について前日ブログに書いたように別段複雑怪奇な謎があるわけでない。言った言わないという矮小化でなくこれを奇貨として、『表現の自由言論の自由』について基本的な検証をすればよい。例えば、国会議員には言論の自由がないのかとの、倒錯が生まれる背景は何なのか、一体、僕たちは今まで何を学習していたのか、国会議員には国会という晴れの舞台で発言する権限がわれわれ以上に認められ、議員特権を与えられ原則、個々の選挙人から完全に独立して、誰からの指令、拘束を受けず意見を述べる憲法上の権利を持っているのです。公開の場で堂々と発言出来るのです。そして、最も大事な仕事は法案の提案です。
◆過日、図書館のリサイクル棚で、そのような簡単明快なコンセプトで、全衆議院議員の1997年、この一年間の記録として、厚さ五センチ、A5版の本、東京商工連盟編 中小企業研究会企画『国会議員の公約と行動』(四谷ラウンド)を貰ってきましたが、国会議員の情報を具体的に客観的に情報提供している。ぼくがこの中で最もチェックした項目は?議員立法:提案した法案の名、その結果とその概要?委員会での発言要旨?総選挙時の選挙公報原文ですが、本当にびっくりしたのは、殆どの議員が法案の提出をしていないということです。ぼくの常識では国会議員の最大の仕事は法律をつくることだと思っていたのでこれには驚きました。それではせめて委員会など公開の場で意見を述べて欲しいのですが、一部の議員を除いては不活発、一体、それでは何の仕事をしているのだと、首を傾げたくなります。そういう流れがあるからひょっとして政治的圧力があったんではなかろうかという疑心暗鬼が生じるのです。一つの法案作成が大変だから、政策秘書も公費でつけてもらえるわけだし、その肝心の仕事をしないで、どうして国会議員が務まるのか不思議でならない。勿論、真面目に法案を提出している議員もいます。そんな議員は政党を問わず応援をしたくなります。
◆勿論、選挙民がそのような意識を持って投票することが、大事だということは当然ですが、でもこんな結論はあまりにも愚直で芸がないが、せめてぼくはそんな最低限のモラルで投票したい。仕事をする議員に投票したい。地元に利益を誘導することが国会議員の仕事ではないのです。国全体のことを考えるのが国会議員の仕事です。だから法案を作成するのです。中学校の教科書でも学習する常識なので、ここに書くまでもないのですが、そんな常識を知らない国会議員・選挙民がいることを本書で想像できてぞ〜と、しました。
◆命の洗濯にDVD『惑星ソラリス』を観ました。その映像の美しさに、その深い瞑想に、この世のあまりの腹立たしさ、恥の多さに叫びたくなりましたが、こんな映画を生み出し続ける限りは、この世はまんざら捨てたものではないなと思いました。主人公のクリスは惑星ソラリスに何を見たのか…。彼は独白する。

恥の意識がなければ人類は救われない

…私はいかなる希望ももっていなかった。しかし、私の内部ではなおも一つの期待が生きつづけていた。それは彼女が私に残して行った最後の期待であった。私は一体、生懲りもなく、どのような事件を、どのような嘲笑を、どのような苦悩を期待しているのだろうか?それは私にもわからない。しかし、私は、驚くべき奇蹟の時代はまだ永遠に過去のものとなってしまったわけではない、ということを固く信じていた。」
スタニスラフ・レムソラリスの陽のもとに」

参照:『大阪府立生野高校文藝部』