2004/06/30(旧ブログ転載)

◆同居の大正七年生まれの老母は急に、政治意識、ジェンダー問題意識が高くなった。テレビで国会中継をよく見るし、日曜の田原総一郎の討論会は楽しんでいる。ぼくなんか、殆ど見ない。年金の額が減額される流れになっているので、「どうして、金のない年寄りから、金を取ろうとするのか?」そんな小さな疑問から政治に興味を持ち始めたのです。でも、老人会の仲間たちの政治意識のなさに嘆いている。子どもや、孫世代の事なかれ主義や政治に対する無関心さに溜息つく。ぼくはそんな槍玉に挙がった連中を代弁して、「いくら、言葉で警鐘を鳴らしても動かない、事が起きて、経済が崩壊して、ニッチもサッチもいかなくならないと、目覚めない」「ババ抜き、ネズミ講と同じで自分だけは例外だと思っている」「無作為の行為が自分の首を絞める政治行動になるんだという想像力を持つには疲れているんだ」云々と、まあ、こんな書き言葉をしゃべらないが、大体こんな主旨のタメ口をたたいている。
参議院選挙も迫ってきたが、老母の出入りする集会所にしろ、カラオケ屋にしろ、喫茶店にしろ、珍しく、政治の話を振ってくる連中は某宗教団体とか、選挙がらみ、そして、振ってくる連中達は党の政治方針、政策を知らない。「年寄りをバカにしている、ただ、頼みますだけで、何にも知らないんだから…」
◆そんな老母が食卓の上で変な漢字を書いている。「嫁」「姑」「婿」「妨害」「嫉妬」「姦淫」…。何だ、何だ、これは、不穏な動きである。老母は朝刊の投書欄を示した。ぼくと同年配の主婦の方が女が付く漢字は何故か、マイナスイメージがあり、こうした漢字に接しながら、“女は劣っている”という刷込みがなされているのではないか?何故、誰も「漢字を改めよう」、提案しないのか?この投書に老母は共感して、一生懸命、メモしていたのです。男の付く漢字には甥がある。「お前はどう思うか?」「そうやなあ、男のところを女に入替えて変換するのも面白いかも…」、無責任な言い方ですが、米寿近くなってジェンダー意識に芽ばえたのか、老人会での問題を聞くに付け、ぼくなんか、「ならば、会長を女にすれば、その方が会の運営がスムーズにいくよ」とアドバイスしているのですが、そこまでの、踏ん切りがつかないみたい。前例は副会長の女性が許容範囲みたい。それはおかしい。昔、組合を立ち上げた時も、執行委員長は女にしたし、地域の文化活動のサークルを発足したときも、会長は女にしたし、「俺らの年代では違和感がない、老人会の会員数は女の方が多いなのだから、やる気がありさえすれば、出来るではないか」とハッパをかけました。ところで、老母に『嬲る』(なぶる)っていう漢字を知っているかと訊いたら知らなかった、あまり漢字を知らない男でもこの漢字は不思議と知っている。アダルトビデオやエロ本のタイトルにこの漢字は使われているからね、老母は早速、老人会やカラオケ、喫茶店で確かめてみて納得していた。《女男女》の漢字を発明すれば…。女帝でも構わないと思います。
“kingさん”の指摘で、《女男女》っていう漢字はありました。恥ずかしい。でも、抹消しないで、このまま恥じを曝せておきます。『女男女』は、(うわなり)って読みます。ぼくのPCでは、一文字でアップ出来ません。コメント欄のkingさんが、ちゃんと、変換してくれています。『嫐』:音読みは「ドウ」「ノウ」です。広辞苑による「うわなり」の意味は≪歌舞伎十八番の一。1699年(元禄十二)中村座で初代市川団十郎が初演。男一人に女二人の嫉妬の所作で、筋はその時に応じて定められる。≫ということです。ちなみに十八番を列挙します。不破(ふわ)鳴神(なるかみ)暫(しばらく)不動(ふどう)嫐(うわなり)象引(ぞうひき)勧進帳(かんじんちょう)助六(すけろく)外郎売(ういろううり)矢の根(やのね)押戻(おしもどし)景清(かげきよ)関羽(かんう)七つ面(ななつめん)毛抜(けぬき)解脱(げだつ)蛇柳(じゃやなぎ)鎌髭(かまひげ)です。
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